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2014/05/23

インフラ維持で地域協議会 市町村の支援体制構築 国交省・長寿命化行動計画

 国土交通省は、インフラの維持管理・更新を戦略的に進めるための「インフラ長寿命化基本計画」の行動計画(2014〜20年度)をまとめた。同省が所管するインフラの維持管理・更新の方向性を施設分野別にまとめたもので、同省と地方自治体がメンテナンスに関する協議会を設け、技術力・人員不足に悩む市町村を支援する体制を構築するなどと記載。道路分野の「道路メンテナンス会議」を他分野にも広げる格好だ。修繕工事の担い手確保に向け、建設産業の重層下請構造の改善に向けた対策を講じ、技能労働者に適切な賃金が行きわたる環境を整備する方針も示した。
 インフラ長寿命化基本計画は、昨年11月に政府の関係省庁連絡会議が策定したもので、点検・診断とその結果に基づく修繕などを繰り返す「メンテナンスサイクル」の構築を柱としている。この中では、全省庁に行動計画の策定を求めており、国交省が初めて計画をまとめた。
 国交省の行動計画は、インフラの維持管理・更新の体制や制度を所管する役割と、直轄でインフラを管理する役割の双方で、今後取り組む施策を施設分野別にまとめた。点検・診断については、道路(橋梁、トンネル)で5年に1度の近接目視を7月から義務付けるとしたほか、ダムの定期検査を3年に1度、空港の路面性状調査を3年に1度の頻度で実施するなどとしている。
 インフラの維持管理・更新を進める地方自治体を支援する体制の構築も急ぐ。道路分野では、地方整備局の国道事務所、都道府県、高速道路会社、市町村などが参加する「道路メンテナンス会議」を各都道府県で発足させており、この取り組みを河川などの他分野にも広げ、管理者間の相互連携を深める。協議会で調整し、同省が市町村に代わって工事を施行したり、委託による一括発注などの支援措置を講じる。
 行動計画では、維持管理・更新の担い手確保についても記載。入札契約適正化法の改正で、施工体制台帳の作成・提出義務が拡大されることに伴い、小規模な修繕工事も含めて施工体制を把握し、手抜き工事や不当な中間搾取(さくしゅ)を防止。重層下請構造の実態を調査し、必要に応じて技能労働者に適正な賃金が行きわたる対策を講じる。
 また、修繕工事の担い手を確保するため▽積算基準の見直し▽発注ロットの最適化▽単価・数量生産方式の活用―をはじめとする入札契約制度の見直しも図る。

提供:建通新聞社