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2020/06/17

法定福利費の内訳明示 公共工事で目標設定

 国土交通省は、公共工事で法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)と請負代金内訳書の活用が進むよう、2021年度末までの目標値を設定した。見積書と契約書に内訳を明示すると、法定福利費が適正に支払われる傾向があるものの、公共工事でもその活用が十分には進んでいない。特に、地方自治体の取り組みに遅れが見られることから、21年度末までに法定福利費を内訳明示した請負代金内訳書の導入率を都道府県で100%、市区町村で50%以上とするよう、働き掛ける。
 法定福利費を内訳として明示する取り組みは、建設業の社会保険加入対策を推進する国交省の呼び掛けで2013年度にスタート。法定福利費を別枠で明示した「標準見積書」が職種別に作成され、この標準見積書を活用して下請けが元請けや上位下請けに法定福利費を請求する。
 これに続き、見積書で請求された法定福利費を契約段階で内訳として明示する「請負代金内訳書」も、17年に標準請負契約約款に位置付けられた。
 国交省の直轄工事では、受注者に作業員の雇用保険・健康保険・厚生年金保険の事業主負担額を「請負代金内訳書」に記載することを義務化。法定福利費が著しく低い場合は、発注者が支払額の適正性を確認している。
 しかし、請負代金内訳書で法定福利費を内訳明示している発注者は、国(他省庁含む)で84%、都道府県で53%、市区町村で14%と大きな差がある。こうした発注者間の温度差を解消するため、国交省は21年度末までに国・都道府県の導入率を100%、市区町村で50%以上とする目標を設定した。
 一方、元請け・下請け間、下請け・下請け間で法定福利費を内訳明示している公共工事も、見積書で63%、請負代金内訳書で58%といずれも6割程度にとどまっている。国交省は、21年度末までに見積書・請負代金内訳書に法定福利費を内訳明示する工事を80%以上に引き上げる目標も定めた。
 目標達成に向け、ブロック単位で「建設業社会保険推進処遇改善『地方』連絡協議会」を開き、建設業界と発注者に活用を呼び掛ける。市区町村に対しては、地方整備局を通じて働き掛けていく方針だ。

提供:建通新聞社