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中央ニュース

2020/11/20

脱約束手形の促進へ 企業支援を検討

 中小企業庁は、約束手形を用いない取引慣行を形成するため、中小企業への支援策を検討する。約束手形の振り出しから現金化までの期間(支払サイト)の短縮に向けて、企業の一時的な資金繰り負担を軽減する方策や、紙の約束手形から電子取引への移行を促すためのIT化支援の方策などを探る。
 中企庁は現在、約束手形に関する産業界への通達を改正し、支払サイトを一律に60日以内とするよう求めることを検討。新型コロナウイルス感染症の影響により悪化している中小企業の資金繰り改善につなげようとしている。
 ただ、企業間の重層的な取引構造の中で、個社が手形支払をやめて現金払いなどに切り替えると、その会社に資金繰り負担が発生する恐れがある。そこで、中企庁は▽サプライチェーン全体で約束手形を無くす取り組み▽振出人がコストを負担しない取引慣行の適正化▽資金繰り負担の軽減策―などを検討していく。
 さらに、紙の手形から、インターネットバンキングや電子記録債権などの電子取引への移行を促進するため、中小企業のIT化を促す施策も考える。
 特に近年は、売掛債権を期日前に現金化する「買取型ファクタリング」のオンライン化や、受発注書を電子記録債権化して受注時点で融資を受けることを可能にするサービスの利用が拡大。ITを活用した新たな決済手段の活用についても模索し、2021年2月をめどに方針をまとめる。
 建設業は、特に手形支払いが多い業種の一つ。中企庁が20年度に行った調査では、大企業取引の場合、手形の支払サイトは建設業が最長の105・8日だった。大企業以外の取り引きでも製造業に次いで2番目に長い103・9日となっており、中企庁が目標に掲げる「60日」とは隔たりがある。一方で、五洋建設や若築建設など下請への支払いの現金化や、東亜建設工業や西松建設のように支払サイトの短縮に取り組む企業も出てきている。

提供:建通新聞社