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2021/05/26

官庁施設の木造化 中層以上に拡大検討

 国土交通省は、官庁施設の木造化(木質ハイブリッドなど)を中層以上の建築物に広げていく考えだ。このため2021〜22年度に試設計を実施し、CLT耐力壁などによる具体化の可能性を探る。
 中層以上(4階以上)を対象とした官庁施設の木造化の基本的な方向性は、合理的なコストで、可能な限り多くの木材を活用する。これを踏まえ、施設の規模に応じた合理的な整備手法、公共発注でも活用しやすい木造化手法の検討を進めるとしている。
 21年度の試設計では、▽CLT耐力壁▽屋根の木造化▽開放型付属屋根の混構造―について、架空の建築物を対象に概算費用などを算出して実現性を検討する。
 CLT耐力壁は昨年、国土技術政策総合研究所で実証実験を行っており、実験データを踏まえ、接合部の検討、コストの把握などを行う。純木造ではコスト高となる中層以上の建築物について、設置する壁の量に応じてコスト調整が可能なCLT耐力壁の特性を生かした整備手法の検討が進められる。
 屋根の木造化は、鉄筋コンクリート造の屋根をCLTとすることを検討する。 開放型付属屋の混構造は、屋根にCLTを用いる駐輪場などの設計モデルを作成する。
 これらの試設計は「令和3年度官庁施設における木質ハイブリッド等を用いた多様な木造化の整備手法等に関する調査検討業務」(簡易公募型プロポーザル)とし公告済み。6月3日まで参加表明書を受け付けている。
 22年度の試設計は別途外注し、床・1階のみを鉄筋コンクリート造とした庁舎、エントランスのみを木造化した庁舎(木製捨て型枠の検討含む)などを検討する。
 中層以上の木造化の取り組みは、民間建築物で特許工法などの研究・開発が進み、中高層建築物での木造化事例が見られるようになった。一方、官庁施設は、国が整備する低層の公共建築物で木造化が進んでいるものの、中層以上ではコスト、技術的な課題からほぼ実績がない。
 官庁施設の木造化を中層以上に広げていく上で、現実的な建設費用、特許工法などで設計者、施工者が限定されない開かれた整備手法の検討が課題となっている。

提供:建通新聞社