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中央ニュース

2021/06/28

危機乗り越え『豊かな未来』展望 国交白書

 2021年度版国土交通白書では、現在日本が直面する危機の一つに激甚化・頻発化する災害を挙げた。その上で、こうした危機を乗り越えて目指すべき「豊かな未来」を展望。増大する災害リスクに「流域治水」などあらゆる関係者の力を結集して取り組む方向性を示した。
 毎年のように発生する災害リスクに対しては、流域治水を進めるとともに、災害ハザードエリアにできるだけ住まわせないための土地利用規制・誘導策を推進する。国交省の調査によると、国内で災害リスクがあるエリアは国土の21・5%の約8万平方`に及び、ここに全人口の7割近い8603万人が居住。災害リスクの高い地域に人口が集中していた。
 一方、高齢者福祉施設での避難の実効性確保や、橋梁や道路の流失防止対策の必要性も指摘している。流失防止対策では渡河部の橋梁流失、河川隣接区間の道路流失を防ぐための洗堀・流失対策などを有効な取り組みに挙げた。
 この他、老朽化が加速するインフラについては、計画的に修繕を行う「予防保全」へ本格的な転換を図る。試算によると、事後保全と比べ、48年度の1年当たりの維持管理・更新費用が約5割減少するという。
 白書では、新型コロナウイルス感染症についても、直面する危機の一つとした。コロナ禍で遅れが浮き彫りとなったDX。世界デジタル競争力ランキング(IDC Japan調べ)で日本は調査対象全63カ国中27位、先進国(G7)中で6位だった。7割を超える企業がデジタル施策に取り組む一方、DXを活用した商品・サービスの高度化が遅れていると指摘。人口減少下で社会システムを維持するためにDXによる生産性向上が重要とした。
 脱炭素、気候変動適応も視野に、現在の危機を乗り越えた「豊かな未来」の実現を目指していく。

提供:建通新聞社