トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2021/08/28

建設トップランナーフォーラム(7)

 砂子組(北海道奈井江町、砂子邦弘社長)は、企画営業部ICT施工推進室の八戸正人氏が登壇し、ICT施工の技術やノウハウをスマート農業や人材育成に生かす取り組みを紹介した。
 北海道はスマート農業の社会実装が進み、GNSS情報で制御したロボット農機やドローン、IoTなど建設業と共通した技術が活用されている。同社ではスマート農業の生産性向上に寄与するため、農業基盤整備のICT施工で使用した3次元データを営農に利用している。施工で得た成果座標を農業機械で利用可能な形に変換してデジタルマップを整備。車両系機械やドローンの自動化に役立てている
 人材育成に関しては、岩見沢農高と協定を結び連携授業を展開している。初年度の2018年度は「ICT施工が生産性を向上させる」「熟練者でなくても高度な施工が可能である」という仮説を立て、生徒自らが起工測量や土工設計、出来形計測で従来手法とICT手法を比較検証。人工数や作業時間、コストのいずれもICT手法が優位になるとの結果を得た。
 2年目の19年度は空知建設業協会として協力し、地域全体の取り組みに発展させた。校地内にある排水性が悪いほ場の営農作業性改善を目的に、起工測量から出来形計測までの全ての工程で比較。その結果、作業時間は2000平方b以上の面積であればICT施工により短縮される可能性が高いことを結論づけた。こうした取り組みは地域の未来につながる活動と高く評価され、20年度のi-Construction大賞コンソーシアム部門で国土交通大臣賞、X―Techイノベーション2019で地域創生特別賞、日経BP賞を受賞した。
 現業社員の教育においても新しいスタイルを追究している。各部門の社員自らが講師を務め自身が持つスキルを解説する「SUNAGOアカデミーWEB講座」を開始。学ぶ側だけではなく教える側も再度学習する機会となり確実な成長が見られるのが大きな利点だ。
 最後に、連携授業を経験した岩見沢農高の卒業生で同社に就職した若手技術者らが登壇。「農業土木とICTのスペシャリストを目指す」「情報処理に長けた技術者になりたい」「自分の手でたくさんのオペレーターにICT技術を広める仕事をしたい」とこれからの夢を語った。
(地方建設専門紙の会)