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2021/09/02

元下間見積実態調査 本省主導で深掘り

国土交通省は、元請け・下請け業者間の見積もり・契約について、従来よりも踏み込んだ実態調査に乗り出す。全国完成工事高上位の会社・支店などを対象に、法定福利費の内訳明示の状況などを本省主導でモニタリング調査する。元下間の見積もりのやり取りや双方協議の実施状況まで調べるのは同省初の試み。2021年度建設業取引適正化推進期間(10〜12月)の重点的取り組みにも位置付け、ダンピング対策のさらなる強化、徹底につなげる構えだ。
 モニタリング調査は、全国完成工事高上位の会社・支店と全ての下請け工事業種を対象に、見積書や契約書の労務費・法定福利費などの内訳明示の状況、工期の設定状況を、地方整備局の協力を得ながら本省主導で調べる。具体的には元請けに対して、下請けとの見積もり・契約に関する資料などの提供を求め、標準見積書の活用状況や見積もりに基づく協議の実施状況、代金の支払い状況などを確認する。
 同省は、担い手の確保・育成に向けた技能労働者のさらなる処遇改善へ、今春に国土交通大臣と建設業4団体とで「本年はおおむね2%以上の賃金上昇の実現を目指す」ことを合意。この目標を達成するために、▽技能労働者への適切な水準の賃金支払い▽著しく短い工期の禁止―を、建設業法令遵守推進本部活動方針の重点事項とし、ダンピング受注防止などの取り組みを強めてきた。
 こうした中にあって、一部業界団体からは「需給バランスが崩れているエリアがあり、ダンピングが起こっている恐れがある」との声も聞かれるという。
 ダンピング受注は下請けへのしわ寄せや技能労働者の賃金水準の低下につながりやすく、担い手確保・育成を困難にする。このため、元下間の見積もりのやり取りや工期の設定状況について、深掘りした情報収集・調査に踏み切ることとした。調査結果は来年度にまとめ公表する。
 モニタリング調査は21年度建設業取引適正化推進期間の重点的取り組みに位置付けるが、推進期間にかかわらず実施するとしている。この他、推進期間には国交省、都道府県、建設業適正取引推進機構が協力し合い、建設業取引の適正化に関する講習会や立ち入り検査などを実施する予定だ。

提供:建通新聞社