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2021/10/01

盛土災害、年内に対策 有識者会議が発足

 内閣府は9月30日、静岡県熱海市の土石流被害を受けた「盛土による災害の防止に関する検討会」の初会合を開いた。初会合で内閣府は、8月に地方自治体に依頼した総点検の箇所数が全国3万〜4万カ所(都道府県当たり平均約740カ所)に上ると報告。今後、本格的に現地確認を進め、年内に暫定的な点検結果をまとめるとした。検討会は、崩落の危険性の高い盛土の対策、危険な盛土を防止する規制の在り方などについて有識者の意見を聞く。
 今年7月に熱海市で発生した土石流を巡っては、土石流の起点にあった盛土の不適切な施工が指摘され、静岡県が原因究明を進めている。一方、政府は翌8月に関係省庁連絡会議を立ち上げ、全国の盛土の総点検を行い、危険箇所の対策工事や詳細調査に加え、土地利用規制などの制度的対応を検討するとしていた。
 内閣府が9月30日に発足した検討会では、有識者の意見を踏まえ、総点検と並行して危険性の高い盛土の定義や安全性を確保するための対策方法を議論する。
 8月から自治体が進めている許可・届け出資料の確認によって、総点検の予定箇所数は3万〜4万カ所に上ることが分かっている。このうち危険性の高い盛土は、行為者による是正を基本としつつ、今後の豪雨に備え、関係省庁が緊急対策(盛土の撤去、対策工事など)や詳細調査の予算を措置する。
 検討会では、盛土を規制する宅地造成等規制法、森林法、農地法などの課題、規制の対象範囲や不適正な盛土に対する罰則の在り方なども整理する。盛土の安全性確保を巡っては、宅地や森林の盛土には技術基準があるが、その他の土地利用に具体的な技術基準はない。
 盛土などの開発行為を規制する条例を独自に定める都道府県もあるが、違反行為に対する罰則などは条例によって異なる。熱海市の被害を受け、全国知事会なども法制化による全国一律の規制を求めている。
 検討会は、政府が進める総点検の結果とともに、今後の対応を年内にまとめる。盛土の安全性を確保するための規制の在り方に加え、建設発生土や廃棄物混じり土の安全利用や適正運用についても話し合う。

提供:建通新聞社