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2021/10/04

建設経済研究所 遠隔臨場原則化を提言

 建設経済研究所は、新型コロナウイルス感染症の拡大が建設業に与えた影響と対応策(五つの提言)を中間報告としてまとめた。アンケート調査を行い分析した。コロナ禍をきっかけに、書類の簡素化やASP(工事情報共有システム)の活用、遠隔臨場などの取り組みを始めた中小建設会社が多数いることが分かった。今後の対応策としてASPと遠隔臨場を原則化することを提言した。
 働き方改革と生産性向上に関わるアンケート調査の設問では、「コロナをきっかけに開始した取り組み(複数回答)」を聞いた。489社が「写真管理、出来高管理、品質管理にITを利用」を挙げ、最多を占めた。以下、374社が「発注者への提出書類の簡素化の措置」、370社が「ASPの活用」、248社が「ウエアラブルカメラなどを用いた検査(遠隔臨場)」と回答した。
 アンケート結果を踏まえ建設経済研究所は、「コロナ以前からゼネコンで普及が進んでいたアプリを活用した測量や書類作成の効率を上げる取り組みが、中小建設業にも拡大した」「書類の簡素化やASP導入も進み、コロナ拡大が建設業界でのIT活用の一つの契機になった」と分析した。
 また、こうした動きを今後も継続することが、建設業のデジタル化を進めることになるとし、全ての発注者に対してASPと遠隔臨場を原則化するよう提言した。
 この他、▽ICT建機の官側による保有と施工企業への貸与、必要経費の計上▽地方自治体での電子契約普及率の拡大▽4週8休導入に向けて、技能労働者の労務単価の大幅な改善▽自治体、民間発注工事でのコロナによる設計変更協議の適切な実施―を提言した。
 アンケート調査では「コロナをきっかけにICT施工を導入した会社は全体の5%にとどまり少数だった」「時間外労働縮減やオンライン会議は約3分の1の会社がコロナ終息後も引き続き実施したいと考えている」ことも分かった。
 アンケート調査は都道府県の建設業協会に所属する企業1万8829社を対象に、6月18日〜7月30日にWEB方式で実施。1558社から回答があった。回答率は8・3%。回答企業の資本金種別割合は1000万以上1億円未満の中小企業が9割を占めた。業種別割合は土木工事業が6割、土木・建築工事業が3割、建築工事業が1割となっている。

提供:建通新聞社