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2021/10/30

全国建設業協会地域懇談会・ブロック会議(4)近畿

 全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)と国土交通省の2021年度の近畿ブロック会議が10月18日、神戸市内で開かれた。近畿ブロック2府5県の各建設業協会で構成する近畿建設業団体協議会が「地元建設企業への受注機会の確保・拡大」「働き方改革における担い手確保とi―Construction」「新担い手3法の推進」など六つの議題を提案。建設業の働き方改革や担い手の確保・育成を進めるため、市町村や民間発注者への働き掛けを強めることを要望した。さらに、建設キャリアアップシステム(CCUS)の取り組みに対する厳しい意見や社会資本整備による内需拡大・雇用創出を求める声も上がった。
 協議会からは「建設業界の働き方改革を進めるための環境整備をお願いする」として、▽適正工期のさらなる周知▽設計労務単価や現場管理費などの引き上げ▽担い手確保に向けた支援整備の充実―などを求めた。特に民間工事にも適正工期、週休2日の導入などの働き方改革に向けた環境づくりを浸透させることが重要だとし、民間発注者への周知に加え、建築設計事務所への働き掛けを求める声もあった。
 国交省は「民間工事の工期についての実態調査を本年度に行う」と話し、民間工事でも工期の適正化について働き掛けを強化する考えを示した。
 新担い手3法の推進でも適正利潤が確保できる予定価格の設定、発注・施工時期の平準化、ダンピング受注の防止など、特に市町村レベルにも浸透し、確実に実施されるよう「運用指針」の徹底について発注者協議会を通じた働き掛けを求めた。国交省は「適正化の取り組み状況は毎年フォローアップし、見える化を図っている。平準化やダンピング受注防止など、発注者の責務として必要に応じて働き掛ける」とした。
 CCUSに対する厳しい意見もあった。協議会幹事協会の松田隆・兵庫県建設業協会会長は、建設業界が将来にわたって継続的に役割を果たすには「経営の安定が必要」と訴えながら、CCUSについて「ここまで順調に普及しているとは言い難い。技能者、事業者もメリットを感じておらず、仕方なく行っているのが実情ではないか」と述べ、「将来のためのシステムと理解しているが、メリットを十分理解できる取り組みを行いながら金銭的、手続き的負担を掛けないようにしてほしい」と求めた。国土交通省不動産・建設経済局の大澤一夫官房審議官は労務単価引き上げ、週休2日の導入、適正な工期設定などと合わせ、CCUSについても「サステナブルな地域建設業であるため、現場の声を聞いてしっかりとしたメリット付けを行い、さらなる利用促進に努めたい」と答え、魅力的な産業に変革するために官民一体となって取り組んでいく考えを示した。
 この他、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う影響について、全建の奥村会長が「地域建設業も民間建築工事の中止や延期、市町村での建設関連予算、工事の減少などがある」と示しながら、「建設投資による内需の創出と雇用の拡大が不可欠」と求めた。会議の中でも民間投資の冷え込み、公共事業への依存度の高まりを懸念し「景気対策の観点からも安定的、継続的な事業量の確保が重要」と、22年度以降の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」関係予算を「当初予算」で確保、拡大するよう要望した。
 国交省は「防災、減災、インフラ老朽化対策など国土強靱(きょうじん)化をしっかり進めるための必要な予算を確保する」とし、補正予算に向けた動きが出てきたことにも触れた。
(地方建設専門紙の会)