トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2022/06/10

土木学会 Well―being社会へ提言

 土木学会(谷口博昭会長)は、提言書「Beyondコロナの日本創生と土木のビッグピクチャー 〜人々のWell―beingと持続可能な社会に向けて〜」を公表した。ありたい未来の姿として、「持続可能な社会を目指し、誰もが、どこでも、安心して、快適に暮らし続けることができるWell―Being(身体だけでなく精神や社会面も含めた健康)社会」とし、実現のためには「リスク分散型社会の形成」と「共生(ともいき)によるWell―Beingの更なる向上」が必要とした。
 まず「土木のビッグピクチャー」を、「ともいき(国と国、地域と地域、人と人、人と自然がともに発展する社会)を実現するための国土像」と、それを支えるインフラのあり方を描いた長期的な全体俯瞰図であると説明。
 提言の背景として、近い将来日本で発生が予想される巨大地震や新型コロナウイルスのパンデミック、脱炭素化(カーボンニュートラル)の要請、社会の分断や格差、国際情勢の緊迫化など日本の危機を上げ、日本が持続可能な社会を維持していくために土木の役割を包括的に検討し直す必要があるとした。
 Well―Being社会は、安全、医療、雇用、教育、福祉が社会から提供されていることを前提に自然(豊かな自然環境)、文化(伝統・文化に触れられる)、地域(強靭で自立的な地域)、産業(地域のイノベーション)、包摂(国際・観光など多様な交流)が満たされた快適な環境に暮らす状態だとする。その上で、インフラが本来、国民全体の安全、環境、経済、生活などに関する便益を与える平等性・公平性を目指すものであることから、「安心して快適に暮らし続ける」ための社会基盤として、「リスク分散型社会の形成」と「Well―Beingの更なる向上」を図り、「ありたい未来の姿」に近付くと示している。
 ありたい未来を実現するための具体策として▽国土強靱化=気候変動に対応した国土防護システムの構築、都市部の防災力強化▽地方創生=拠点施設の計画的配置、生活基盤や都市空間の再構築▽経済安全保障=効率的なマルチモーダ輸送拠点の形成(交通結節点強化)▽インフラメンテナンス=上下水道や無電柱化など生活・交通インフラの大規模更新▽脱炭素化=水力、風力、太陽光など再生可能エネルギーの拡充▽グリーンインフラと生物多様性=沿岸部再生、森林・里山の保全、再生など人と自然との共生▽DX社会への対応=サイバー・フィジカルの融合を前提とする設計・施工・維持管理、リアルタイム・デジタルツインの構築―などを挙げた。
 また、土木の裾野の拡大と土木技術者の役割として▽初中等教育へ積極的に関与することによるインフラの役割や意義に対する理解の促進▽インフラに関わる土木技術者の確保と人材育成による品質の維持▽語学力やダイバーシティ重視の視点など国際化対応―などが必要とした。
 今後は7月中旬にシンポジウムを開催する予定だ。

提供:建通新聞社