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2022/07/15

Catch-up ドローン登録制度がスタート

 ドローンをはじめ重量100c以上の無人航空機の機体・所有者情報の登録制度が6月20日に始まった。急激にドローンの利用が拡大する中で、航空行政を所管する国土交通省は安全を担保する制度のさらなる拡充を急ぐ。その先に見据えるのは、現在は認められていない有人地帯での目視外飛行の実現だ。
 登録制度では、所有者が機体情報(種類、製造者など)と所有者・使用者情報(氏名、住所など)を国交省のウェブサイトで入力し、機体ごとの「登録記号」を取得する。登録は3年ごとに更新が必要で、安全上問題のある機体は認められない。機体に登録記号を貼付・記載することと、機体から登録記号などの識別情報を電波で発信する機能も求められる。無登録機の飛行は1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。
 制度整備の背景にあるのは、利用拡大に伴う事故・トラブルの増加だ。所有者を特定できるようにすることで安全な利用を促し、ドローンの信頼性を担保する狙いがある。
 7月7日現在で登録された機体は約27万3000機に達した。登録者は個人が約11万3000人、企業などが約3万3000団体で、業務目的の利用も多い。建設分野では、ICT施工に必要な3次元測量データの取得などでドローンの活用が浸透。災害時の被災調査やインフラ点検でも注目されている。
 ただ、現行制度では、操縦者の目視範囲外の有人地帯上空を補助者なしで飛ばす「レベル4飛行」は認められていない。これを可能とするため、国交省は飛行の安全を担保する「機体認証制度」「操縦ライセンス制度」を12月にも創設する。認証を受けた機体をライセンス保有者が操縦し、必要に応じて許可・承認を得ることを前提にレベル4飛行を認める形だ。
 機体の認証は、レベル4飛行が可能な第一種と、それ以外の第二種に分かれる。機体メーカーが設計・製作段階で審査を受けていれば、使用者は機体ごとの現状検査を受けるだけで認証書を得られる。
 ドローンを飛行させるのに必要な知識・能力を証明する操縦ライセンスも、一等(レベル4飛行相当)と二等に分かれる。全国で1法人を試験機関に指定し、身体検査と学科試験、実地試験を行う。23年早期にも一等操縦ライセンスの学科・実地試験を実施したい考えだ。
 実地試験については免除規定も整備。一定の要件を満たした民間のドローンスクールを講習機関として登録した上で、そこで講習を修了すれば実地試験を免除される。
 ドローンは「空の産業革命」とも呼ばれ、企業の柔軟な発想が活用の場面の拡大に寄与してきた。安全確保を大前提とした上で、利用者が必要以上に萎縮することのないよう、規制を合理化・簡略化するさじ加減が重要になりそうだ。

提供:建通新聞社