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2022/08/24

予算順調に消化 契約率9割超で推移

少子高齢化による人手不足や建設資材の高騰などで公共事業の円滑な実施が心配されるが、国土交通省によると、公共事業予算に対する契約率はここ数年9割超で順調に推移している。技能者の過不足率も2013年度に不足のピークを迎えた後、落ち着きつつあることが分かった。
 国交省の集計によると、前年度からの繰り越し分を含む当初予算(一般会計、特別会計、独立行政法人など含む)に対する、直近3年の契約率は、19年度が90・7%、20年度が92・4%、21年度が91・0%となった=表参照。人手不足や資材高騰といった厳しい社会情勢下にあって、各年度9割以上の予算消化ペースを維持。16〜20年度の過去5年の平均契約率も91・5%となっている。
 補正予算については、その成立時期や、国交省が施工時期の平準化など政策的な繰り越しを推進しているなど、当初予算と比べ同年度中の契約が困難な面があるにもかかわらず、近年、契約率が上昇し続けている。18年度に34・2%だった契約率は21年度に53・8%と5割を超えた。それぞれ翌年度に繰り越した予算も100%に近い割合で消化している。
 消化できなかった公共事業費を国庫に返納する不用額の割合(不用率)を20年度以前の5年間で見ると、国交省分は各年度1%程度にとどまり、他省庁含む全体平均より0・1〜0・3ポイント低い状況にもあった。
 また、技能者の過不足率は06年度以降、プラスマイナス4%以内で推移。特に東日本大震災以降、不足しがちだったが、13年度の3・9%をピークに、増減を繰り返しながら22年5月には1・4%まで減少。全体として落ち着きつつある=グラフ参照。
 国交省では、建設投資額と建設就業者数との関係性にも着目。建設投資額が1992年度のピーク時から2021年度までに3割以上減少したのに対して、就業者数の減少率が2割にとどまっていることと、この間、現場の機械化などにより施工効率が向上していることを踏まえ、近年の予算規模相当の公共事業量に対しては施工人員を十分確保できるとしている。
 国交省の公共事業予算に対する施工余力については、単年度の予算から翌年度繰越額を差し引いた執行率の高低だけをもって疑問を投げかける報道も一部にある。ただ、予算の契約率や技能者の過不足率からは、直ちに現場がストップするような深刻な状況にはなく、同省がインフラ整備を遂行する上での建設業者の施工余力にも問題がないことがうかがえた。

提供:建通新聞社