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2022/10/27

民間工事契約 標準約款に拠るのが妥当

 国土交通省は、民間工事の請負契約について「特別の理由がない限り建設工事標準請負契約約款によるのが妥当」とする認識を示した。資材価格が高騰する中、標準約款で「物価高騰に伴う契約変更の協議が可能」と規定しているにもかかわらず、民間工事の請負契約では請負代金の変更を求める条項が削除された契約事例が多いという。10月26日に開いた「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」で示された。
 民間工事の請負契約で適切に標準約款が使われているかを把握するため、国交省が大手ゼネコンに聞き取り調査したところ、請負代金変更に係る条項に「物価高騰による変更は認めない」「発注者の指示によらない変更は認めない」といった内容が記されていたり、標準約款の条項から「経済事情の激変」「物価・賃金」などの価格変動要素が削除されたケースが多数見られた。
 前回までの会合では、民間発注者に対するヒアリングを実施。資材価格高騰への対応について、不動産業者から「当初契約に変動リスクを織り込んでおり、公共工事で見られるスライド条項の適用は民間工事ではそぐわない」とする意見もあった。
 委員らは「スライド条項を適用した標準約款を活用するよう中央建設業審議会(中建審)が勧告しているにもかかわらず、民間工事で使われていない現状をどう思うか」など、標準約款が機能していない現状を指摘した上で、国交省としての考えを聞いていた。
 検討会では、持続可能な建設業の実現に向けた議論を進めている。建設業が慣習的に抱えてきた課題を解決することで、技能者の処遇を改善し、担い手の確保・育成につなげる狙いがある。資材価格が高騰する中で、適切な価格転嫁のあり方については最優先で議論している。

提供:建通新聞社