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中央ニュース

2023/04/21

港湾の気候変動対策 実現への枠組み提示

 国土交通省は、気候変動を考慮した臨海部の強靱(きょうじん)化に向け、必要な施策を実現するための枠組みをまとめた。枠組みは「多様な関係者の連携・協働」「港湾防災DXの構築」「継続的な取り組みの強化」の3本柱で構成する。4月20日に港湾分科会防災部会を開き、骨子案を提示した。
 臨海部では、地球温暖化による海面水位の上昇で、後背地も含め、高波や津波による被災リスクが増大するとされる。そこで国交省が気候変動を考慮した臨海部の強靱化の在り方を検討。骨子案で、強靱化に必要な施策を示すとともに、施策の実現のために、▽多様な関係者の連携・協働▽港湾防災DXの構築▽継続的な取り組みの強化―の三つの枠組みが必要になるとした。
 このうち多様な関係者の連携・協働では、港湾管理者、港湾立地・利用企業団体、運輸・物流関係団体、自衛隊、関係官庁らが情報共有し協働するためのプラットフォームの構築と、官民協働による防災・計画(気候変動適応のための基本計画)の策定に取り組むこととした。基本計画の検討に際しては、中長期の視点で目指すべき、岸壁やふ頭用地などの高さの適応水準や整備順序、対策手法などを整理する。
 港湾防災DXの構築では、暴風・高潮予報、最新のリモートセンシング技術、人工知能(AI)などを活用した事前の備えを推進する必要があるとした。
 継続的な取り組みの強化では、潮位などの継続的なモニタリングや、港湾施設データを集積したサイバーポートの更新などに取り組む。
 気候変動を考慮した臨海部の強靱化に必要な施策のうち、ハード対策については、耐震強化岸壁や海岸保全施設の整備の加速化、海面水位の上昇に備えたふ頭用地の嵩上げなどを挙げた。枠組みの中でソフト対策を含めた各施策を具体化し、災害に強い海上交通ネットワークの構築や、物流・産業・生活機能が集積する臨海部の面的防護の実現を目指す。

提供:建通新聞社