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2023/05/10

標準工期の設定要望 残業規制で日建連

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が、働き方改革と担い手確保の課題を巡って、会員企業にアンケート調査を行ったところ、時間外労働の増加につながる「工期が短過ぎた現場」が、国(道路・河川)で約4割、高速道路会社や自治体で約5割、機構・事業団で約7割に上った。また、約4割の現場で、受注者の責によらない工事の一時中止が発生していた。5月15日からスタートする地方整備局などとの意見交換会で、2024年4月からの時間外労働の上限規制を踏まえた標準工期の設定や、適切な契約変更などを求めていく。
 意見交換会に向けて22年秋以降、施工中あるいは竣工済みの現場に関して調査したもの。1556現場から有効回答があった。
 工期が短過ぎた現場の実態を踏まえ日建建では、「工期に関する基準」を踏まえた週休2日確保への配慮をはじめ、時間外労働の上限規制を踏まえた標準工期の設定や、必要となる労務費などの請負代金への適切な反映を要望していく方針だ。さらに、工期設定の前提となった情報の入札公告での開示や、発注者の責によらない条件変更が生じた場合の適切な工期と請負代金の変更を求めていく。
 また、工事が一時中止になる要因は、「関係機関協議の未了」や「前工事の遅れ」「地元協議の未了」などが多かった。そこで対策として、関係機関協議などの完了を基本とした発注の徹底を求める。
 さらに、時間外労働の上限規制に対応した、現場の効率的な運営に向け、配置予定技術者の柔軟な運用などに効果的な「フレックス方式の余裕期間制度」の原則的な導入を要望する。
 また、現場技術者の時間外労働では、約40%の現場で単月の平均残業時間が45時間を超過していた。時間外労働の上限規制を順守するには、「技術者の増員や業務の外注が不可欠」だとして、必要な費用を設計変更の対象にすることを働き掛ける。
 現場の週休2日では、地方整備局の直轄工事(道路・河川)について、既契約を含め、基本的に全工事を土日閉所の週休2日制工事にすることを求める。また、整備局以外の発注機関でも、統一土曜閉所の拡大などを通じた、週休2日制工事の導入拡大を要望する。
 さらに、4週8閉所が困難な工事についても、発注者指定で交替制の完全週休2日を導入するとともに、施工途中の交替制への切り替えなど、費用負担を含む柔軟な対応を求める。
 技能者の処遇改善では、国交省が20年3月に決定した、23年度からの、民間工事を含む全工事での建設キャリアアップシステム(CCUS)の完全実施に向けた取り組みなどを働き掛ける。
 また、設計労務単価の継続的な引き上げや、一般管理費と現場管理費の見直しを要望。下請け企業での主任技術者の交代要員不足に関して、実務経験の資格要件(指定学科卒以外の10年以上)の緩和を求める。

提供:建通新聞社