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2023/05/11

4割が不適切 資材価格の予定価格への反映

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が会員を対象に行ったアンケート調査によると、公共工事での資材価格高騰への対応で、資材価格の上昇が予定価格に適切に反映されていない工事が全体の約4割に上った。また、スライド条項の適用では、国土交通省と比べ他の発注機関で低かった。5月15日からスタートする地方整備局などとの意見交換会で改善を求めていく。
 意見交換会に向けて2022年秋以降、「品確法の的確な運用」を課題に、入札・契約制度などに関して調査したもの。
 資材価格が予定価格に適切に反映されていない割合は、国交省の港湾・空港関係では約2割と少なかったが、機構・事業団の工事では約5割に上った。国交省の道路・河川関係や地方自治体では約3割、高速道路会社では約4割だった。
 スライド条項は、国交省の道路・河川関係では全体・単品・インフレスライドとも9割以上で適用されていたが、他の発注機関では適用率が低かった。機構・事業団や地方自治体の単品スライドでは6割を下回った。
 スライド条項を適用する際の課題としては、「発注者の理解・経験不足による対応の不備」や「手続きの簡素化・書類の削減の必要」を指摘する声が多かった。意見交換会で改善を求めていく。
 アンケートの結果、資材価格高騰への対応のほか、品確法の運用に関して「発注者の予算の確保と適切な発注」や「発注予定の公表」などに関する課題も明らかになった。
 国交省の工事では、設計変更があった現場のうち約4割で工事数量の削減や工事の打ち切りが発生していた。その要因としては、「発注者の予算制約(拠出可能な予算がなくなった)」(33%)が最も多く、「発注者の予算繰り越しが認められなかった」(9%)が次いだ。意見交換では、施工の平準化のための債務負担行為などの積極的な活用とともに、予算の制約に関して、適正な規模・工期の確保や、施工環境を整えた上での発注を求めていく。
 また、発注予定の公表時期が、公告前3カ月未満の工事が国交省で約5割を占めた。日建連では、「技術提案や積算に人員と時間を確保できず、落札しても品質の低下を招きかねない」と指摘。入札の的確な準備のため、「年度をまたぐ常時1年間分の発注予定の公表」を要望する。その際、一括審査方式やECI方式の採用についても早期の公表を求める。さらに、受注体制の確保や必要な技術開発のため、「3年先までの事業展開の見通し」の公表も提案する。
 この他、入札・契約制度では▽ECI方式の活用拡大と制度改善▽総合評価落札方式での技術提案テーマの改善▽一括審査方式の活用拡大▽地方公共団体発注の建築工事の設計図書の適正化―などを要望する。
 ECI方式の制度改善では、既存のガイドラインを見直して、「技術協力業務期間・費用の適正な契約変更」や「発注者・設計者・優先交渉権者の役割の明確化」などを追加することを求める。
 総合評価落札方式については、工事内容や工事の特性などにふさわしいテーマの設定や、技術評価結果のテーマごとの評価点の開示などを要望する。

提供:建通新聞社