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2023/07/04

適切な施工体制へ ICT活用し見える化

 国土交通省は、ICTを活用して施工体制を「見える化」するための制度的な仕組みを探っている。建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用も考えられそうだ。中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会の第2回基本問題小委員会=写真=で、持続可能な建設業を実現するために必要な制度設計の方向性として示した。
 建設業法では、施工体制台帳などの作成を通じて適切に施工体制を確保することとされているが、書面ベースで管理しているため、大規模な現場になるほど適切な管理に限界が出てくるとされる。また、施工体制台帳は下請け企業からの申告に基づいて作成されるため、内容が適切かどうか真正性の担保に難しさがあるともいう。
 過去の基本問題小委員会では、重層下請け構造の改善へ、例えば、施工体制台帳や施工体系図の活用による下請け次数や下請け企業数の「見える化」について検討すべきとする意見も出されていた。
 CCUSには、施工体制台帳などの閲覧機能がある。ただ、国交省では、さまざまな分野や業種、規模の建設業者がある中で、特定のシステムを使うよう国が義務付けることは現実的でないとしている。
 今回の基本問題小委員会で国交省は、「施工体制の実態を把握し、施工体制を確保するために、国がICTの活用を念頭に建設工事現場を管理するための指針を作成する。さらに、特定建設業者に順守させることを制度化する方向性が考えられないか」と投げかけた。
 中日本高速道路会社の橋梁耐震補強工事では、施工体系図に記載のない会社が現場作業に従事し、多くの作業員が十分な経験・技能を持っておらず、施工不良につながったという事例がある。
 施工体制の実態を適切に把握することで、技能者への賃金の行き渡りにつなげる狙いもある。
 基本問題小委員会で国交省はこの他、建設業で2024年4月から時間外労働の上限規制適用が始まることを踏まえ、勤怠管理でCCUSを活用できないかともした。ただ、CCUSでの勤怠管理については、現時点で就業履歴の一覧を表示する機能はあるものの、勤怠管理に必要となる勤務時間・有給休暇処理機能が実装されておらず、出退勤時間の表示画面がないといった課題がある。

提供:建通新聞社