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2023/07/06

新たな国土づくりへ 全国計画まとまる

 国土交通省は、今後10年間の国土ビジョンを示す新たな国土形成計画(全国計画)案を策定し、公表した。「デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成」「持続可能な産業への構造転換」「グリーン国土の創造」「人口減少下の国土利用・管理」といった観点から「新時代に地域力をつなぐ国土」の形成を目指す。7月4日に開いた国土審議会(永野毅会長)で了承を得た。
 新たな国土形成計画は、2050年とさらにその先を見据えつつ、今後おおむね10年間を計画期間とする。少子高齢化による地域の持続性の危機、巨大災害リスクの切迫、気候変動の深刻化など、国土が直面するリスクに対応した、未来に希望を持てるビジョンを示した形だ。
 デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成では、地方の豊かさと都市の利便性の融合を目指す。市町村界にとらわれず生活圏人口10万人以上を目安とした地域づくりに取り組む。
 持続可能な産業への構造転換では、GXやDXなどを踏まえた成長産業の分散立地や、スタートアップの促進、働きがいのある雇用の拡大などを通じて、地域産業の稼ぐ力を高める。
 グリーン国土の創造では、地域共生型再エネの導入やハイブリッドダムなどにより、カーボンニュートラルを実現する。
 人口減少下の国土利用・管理では、地域管理構想などに基づく国土の最適利用・管理、流域治水、災害リスクを踏まえた住まい方などを実現していく。
 国土構造については、リニア中央新幹線、新東名・新名神高速道路により三大都市圏を結ぶ「日本中央回廊」(仮称)=イメージ図=を形成し、地方活性化や国際競争力の強化を目指す。中核都市などを核とした広域圏の自立的発展、広域圏間の交流・連携の強化にも取り組み、シームレスな拠点連結型国土を構築する。
 国土づくりの戦略的視点には、▽民の力を最大限発揮する官民連携▽ デジタルの徹底活用▽生活者・利用者の利便の最適化▽縦割りの打破(分野の垣根を越える横串の発想)―を掲げた。
 新たな国土形成計画について岸田文雄首相に報告した永野会長(東京海上ホールディングス取締役会長)は、「持続可能な地域を作るためには何よりも人材だ。未来志向で取り組むことができる地域のリーダーの下に、行政と民間が連携して新しい発想に立って地域生活圏を作っていく。そのためには、地域のマネジメントの仕組みを大きく転換していく必要がある」とした上で、「今回の計画ではこうしたことに重点を置いて、具体的な対応策をまとめた。国民と広くビジョンを共有して、地域を担う方々の主体的な取り組みにつなげていくことが大切だ」と語った。

提供:建通新聞社