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2023/07/07

法定福利費の明示率 2年連続ダウン

 国土交通省が専門工事業者にアンケート調査を実施したところ、下請け企業が法定福利費を内訳明示した見積書を提出した割合が、2020年度をピークに、21、22年度と2年連続で下がっていたことが分かった。国交省は、法定福利費の確保のために、法定福利費を内訳明示した見積書の提出を徹底する必要があるとしている。元請けには、下請けに対して内訳明示した見積書の提出を求めるよう、強く促していく。
 下請けにおける法定福利費を内訳明示した見積書の提出状況は、「5割以上の工事で提出している」と回答した企業の割合が、調査開始時の14年度に約3割(31・7%)だったが、20年度に約8割(78・6%)まで上昇した。その後、21年度に74・1%と減少に転じ、22年度も73・5%とさらにダウンした=グラフ@。
 21年度と22年度の提出状況を、1〜3次下請けの階層別に見ると、公共工事、民間工事のいずれもで、2次と3次の提出率がダウンしていた=グラフA。
 一方で、法定福利費を内訳明示した見積書を提出した場合の注文者の反応を、専門工事業者に聞いたところ、全体の56%が「法定福利費を含む見積金額の全額が支払われた」と回答。法定福利費を内訳明示した見積書の提出が法定福利費の確保に一定程度結び付いていることが、改めて裏付けられた。
 法定福利費は、法令に基づき企業が義務的に負担しなければならない社会保険料。健康保険、厚生年金保険、雇用保険が該当する。労働者を直接雇用する専門工事業者は、労働者を適切な保険に加入させるために必要な法定福利費を確保する必要がある。
 また、公共・民間・下請けの工事標準請負契約約款においても、受注者が作成し発注者に提出する請負代金内訳書に、法定福利費を内訳として明示することを標準化している。17年度の中央建設業審議会で標準約款を改正・勧告した。
 法定福利費の算出に当たって国交省は、各専門工事業団体で策定している標準見積書の活用が、業種ごとの事情に応じた算定ができるため、有効としている。

提供:建通新聞社