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中央ニュース

2023/07/11

労務費調査 オンライン方式を本格運用

 国土交通省は、公共工事設計労務単価を設定するために賃金支払いの実態を調べる「公共事業労務費調査」について、オンライン方式での調査を本格的に実施する。対面や書面(郵送)で実施してきたが、オンライン方式を導入。簡易な入力ミスを自動で判別できるようにもし、受発注者双方の業務効率化につなげる。また、今回の調査では、男性育児休業の取得状況や、インフレ手当の支給状況も新たに把握する。
 労務費調査は国交省と農林水産省が毎年10月に実施している。両省発注の公共工事から約1万工事を無作為に抽出。工事に従事する技能者約11万人に支払われた労務費を把握し、次年度の公共工事設計労務単価設定の基礎資料としている。
 前々回の調査から、コロナ禍での対応として、一部対面調査を残しつつ、書面調査とオンライン方式(試行)による調査票の回収を実施。本年度は一部対面と書面調査を残しながら、オンライン方式の本格運用を始める。調査票の提出・管理・審査をシステム上で行い、調査業務を効率化する。
 オンライン方式の対象工事は国、都道府県、政令市、独立行政法人などの発注機関で構成する地方連絡協議会で8月〜9月上旬に選定する。約1万工事の3割程度となる約3000工事を抽出し、それぞれ下請けを含む受注者にオンライン方式で調査表の作成、提出を求める。来年度以降、順次、オンライン方式の割合を増やしていく。
 男性育児休業の取得状況については、建設業での実態を把握するための記入欄を設ける。一昨年に育児・介護休業法が改正され、男女ともに仕事と育児の両立支援が推進されている。
 インフレ手当に関しては、昨今の急激な物価上昇を背景に、従業員の生活支援を目的とした、いわゆるインフレ手当が支給される事例が増えており、建設業での実態を調べる。
 この他、元請けから技能者に支払われる手当の支給額についても昨年度に引き続き、記入を求める。元請けが建設キャリアアップシステム(CCUS)の技能レベルに応じて技能者に手当を支払う事例が増えており、支給額をより正確に把握し、労務単価に反映させる。
 また、労務費調査の約2割の標本が棄却されている現状を踏まえ、棄却率の改善にも取り組む。具体的には、調査対象となった元請けと下請けに対して、所定労働時間が法定の週40時間以内であることが確認できる書類や、記入事項の根拠となった賃金台帳などを、審査に際して提示できるよう整理を求める。

提供:建通新聞社