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2023/07/24

民間建築対象に適正工期確保宣言 日建連

 時間外労働の上限規制の建設業への適用が来年4月に迫る中、日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は7月21日の理事会で、『適正工期確保宣言』を決議した。民間建築工事を対象に、発注者に見積書を提出する際、「真に適切な工期」として、現場の4週8閉所と週40時間稼働を原則として見積もりを行う。働き方改革の実現に向けて、実質的に工期のダンピング≠行わないことを宣言するもの。今後、国土交通省を通じて他の建設関係団体にも協力を呼び掛ける。また、発注者への説明に使うパンフレットを9月にも作成する。
 建設業の労働時間規制への対応では、今年3月、斉藤鉄夫国土交通相と建設関係4団体との意見交換で、働き方改革に向けた工期の適正化が申し合わされた。また、申し合わせに基づく取り組みについて同月、国交省建設業課長名の要請が各団体にあった。これら一連の経緯を踏まえ日建連は、具体策を盛り込んだ今回の宣言を決めた。
 宣言には、4週8閉所などを原則とした見積もりと工期・工程の明示をはじめ、発注者への説明の徹底を盛り込んだ。設計・施工の場合は、設計部門の4週8休の確保を含める。また、協力会社から適切な工期を前提とした見積もりが示された場合は、内容を確認し、これを尊重するとした。
 宣言の適用対象は、4週8閉所の普及が遅れている民間建築工事。公共建築の場合は協力会社の見積もり尊重の部分のみ適用する。特殊法人などの建築では、当該法人の性格や発注方法などに基づき個別に判断するが、今後策定する実施要領で判断の明確化を考えている。土木工事には適用しないが、建築に付随する民間土木には適用する。
 また、初回の見積もりを宣言の対象とし、その後の契約などでの対応は会員各社が個別に判断する。発注者が完成時期を指定するケースなど、適切な工期に基づく見積書の提出が困難な場合は、適切な工期に関する資料を参考として添付する。追加工事や設計の不備などによる契約変更の場合は、新たな見積もりがないケースも含め、宣言の対象とする。
 会員の取り組みを推進するため、会員企業の具体事例を情報共有する。また、各社の取り組み状況を毎年フォローアップする。
 日建連では今回の宣言に当たり、働き方改革を進める政府の施策に沿った取り組みであることなどを含め、公正取引委員会に宣言の内容を説明。「この内容であれば独禁法の問題は生じない」との回答を得ている。
 7月21日の理事会後の会見で建築本部長の蓮輪賢治副会長は「適正工期を確保し、工期ダンピングはやめようと掛け声をかけてきたが、会員が一丸となって具体的なアクションを起こさないと24年問題に対応できない」と、宣言に踏み切った理由を説明した。
 また、宮本会長は「週休2日でないと若い人は建設業に入ってこない。空衛業界や電設業界からも土日閉所を求める声が上がっている」と述べ、業界を挙げた働き方改革を通じて担い手確保を推進する考えを示した。

提供:建通新聞社