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2023/10/17

全国中小建設業協会 ブロック別意見交換会(2)東北

 全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)が主催するブロック別意見交換会が9月29日、盛岡市のアートホテル盛岡で開かれた。土志田会長や全中建岩手の紀室裕哉支部長、県建設業協会の向井田岳会長、国土交通省と東北地方整備局の幹部職員らが出席。週休2日をはじめとする働き方改革や、適正な設計・積算などを議題に意見を交わした。
 当日は、全中建の土志田会長や田邊聖副会長、河ア茂副会長、全中建岩手の紀室支部長、建協の向井田会長らが出席。国交省側からは、不動産・建設経済局建設業課入札制度企画指導室の大湯裕稀課長補佐、櫻井紘司連携推進係長らが出席した。
 田邊副会長は冒頭のあいさつの中で、「地域の現状と問題点を伺い、課題解決を図りたい。10年、20年先を見通せる予算の確保が重要であり、予算確保へ活動を展開していく。若者から選ばれる建設産業を目指し、力強い地場産業としての基盤を築きたい」と述べた。
 紀室支部長は「建設業は地域経済を支え、災害時には地域の担い手としての役割を果たしている。国土強靱化など、建設業の役割が増大しているのも現状だ。本県が抱える建設業の諸問題に関して、忌憚(きたん)のない意見を交わしたい」と呼び掛けた。
 意見交換に先立ち、大湯課長補佐が「建設業行政の課題について」と題して講演。24年度当初予算概算要求の概要のほか、賃金の引き上げに向けた環境整備、建設資材の価格高騰に伴う対応、働き方改革の取り組みなどを紹介した。
 意見交換では、全中建岩手から、「公共事業予算の確保」「国土強靱化の計画的推進予算の確保」「適正な設計・積算」「低入札価格調査基準の見直し」「工事発注および引き渡し時期の平準化」「労務費(賃金水準)の向上」「週休2日に伴う時間外労働規制の適用に向けた工事積算等」など10項目を提案した。
 うち公共事業予算の確保に関しては、「労務単価分のほか、現場管理費・一般管理費等率分や資材高騰分を公共事業関係費に反映しなければ、実質的な工事額が減少してしまう。必要な予算の確保をお願いしたい」と要望。
 国土強靱化関連では、恒常的に当初予算で別枠に計上することなどを要望。適正な設計・積算に関しては、「設計図書と現地の状況が合わない現場が見受けられる」とし、設計図書の精度向上や監督員によるチェックの徹底、設計価格の適正な設定などを求めた。
 低入札価格調査基準の見直しの要望としては、「一般管理費等の算入率を0・90まで引き上げてほしい。適正な利潤が確保できる環境の整備をお願いしたい」とした。
 週休2日の推進に向けては、週6日の労働で得ている賃金を週5日で得られるよう、設計労務単価の2割相当の引き上げを要望。除雪や災害対応など、時間外労働の上限規制に伴う課題も共有した。
 国交省は予算確保の要望に対して、「資材価格の高騰などを踏まえ、公共事業の実施に必要な経費を事項要求で組み入れている。経費の上昇などの影響を見極め、予算確保に取り組みたい」と回答。市区町村のダンピング対策の実態把握・見える化などを進める考えを示したほか、「労働者への賃金実態を正確に把握し、適正な設計労務単価の設定に努める」とした。
 東北地方整備局側は、適正な設計・積算の要望に対し、「やむを得ず、現場の条件が整わない場合がある。関係機関との協議や用地の未取得など、工事進ちょくに影響が生じる場合には、協議の完了時期や用地の引き渡しの時期など、必要な条件を設計図書で明示したい」と答えた。
 向井田会長は「時間外労働の上限規制に対応できるのか、不安に思っているのは事実だ。われわれが不安なく除雪などを実施できるような環境としてほしい」としたほか、「DXなどの施策が練られているが、地方建設業者を助けるための道具で、ふるい落とすための道具ではないこともご確認いただきたい」と呼び掛けた。(地方建設専門紙の会/日刊岩手建設工業新聞社)