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2023/11/20

全国中小建設業協会 ブロック別意見交換会(4)近畿

 全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)と国土交通省による2023年度「全国ブロック別意見交換会」〈近畿ブロック〉が10月30日、京都市内で開かれた。時間外労働の上限規制問題や低入札調査基準価格の引き上げなどについて議論した。
 全中建から土志田会長ら、全中建京都から勝本一登理事長ら計19人が出席。国交省からは不動産・建設経済局建設業課の沖本俊太朗入札制度企画指導室長ら、近畿地方整備局から山田優技術管理課課長補佐ら計5人が出席。京都市行財政局管財契約部から萱原康宏契約課工事係長が出席した。
 開会のあいさつに立った全中建の小野徹副会長は、「会員が直面している問題解決に向けて、行政機関への働きかけを行い、少しでも中小建設業界が置かれている状況を改善すべく活動している」「10年から20年先を見通せる予算の確保がされば企業としても計画的な処遇改善等に取り組め、経営の安定に向けて努力することが可能となる。今後、公共事業予算の確保に向けて活動したい」と述べた。
 意見交換では、全中建京都が地方自治体発注の工事について、週休2日制に伴う十分な工期の確保と工期が延びることによる労務費及び諸経費の増加に対し、歩掛り等の見直しを行った上で適切な予定価格の積算をするよう国からの指導を求めた。このほか、低入札調査基準価格の引き上げ、大阪・関西万博の職人確保への対応、工事着手前の十分な調整などを要望した。
 国交省は、「公共工事で発注する場合は、週休2日を前提に工期を設定し、そのために必要な経費を計上し、積算するよう再三求めている」「歩掛りについては要望を受け止め、どういう答えが出せるのかを考えていきたい」「市場価格を踏まえて予定価格を設定することになっている。予定価格を構成するもの、単価や歩掛りなどは世の中の実態を踏まえて設定することになっている。予定価格は適正価格というのは会計法でもそうなる。ただ、そこを上限にして、それ以下の価格で落札することになっているのが議論があるところ。品質確保の議員連盟の中でも指摘があり、そうしたことも頭に入れた上でこれからの議論、我々としても何ができるのかを改めて考えていきたい」「大阪・関西万博では、職人が限られている状況の中で、同じタイミングで同じような職人が多く必要になり、パンクしてしまうのではないかとの危惧がある。そうならないように、時期をずらしてピークを低くする、あるいは、他の周辺の公共工事も含めて調整が必要になる場面が出てくるかもしれない。まずは早く見通しを持たないといけないと考えており、そこから始めたい」などと回答した。
 近畿地整は、「契約する前に関係機関との協議や地元協議など終えた上で発注し、契約し工事を行うのが本来の形ではあるが、場合によっては整っていない状況で発注を行うこともあり、そうしたことが不可避である場合は、特記仕様書等において条件明示を徹底するよう指導している。直轄工事については引き続き指導をしていく。自治体については発注者協議会で国の取組を紹介し、情報共有を図っていく」と述べた。
 土志田会長は、「全中建京都の皆さんの切実な思いがひしひしと伝わってきた。適正価格で受注したい、それによって末端の業者にもしっかり支払える。適正予算、適正な工期、週休2日を全うしてかなければ、若い人が入ってこない。全国的に同じ状況にある」「全中建としてもこうした意見交換の機会を増やしていきたい」と述べ、議論を締めくくった。(地方建設専門紙の会/建設経済新聞社)