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2023/11/16

「民間でもスライド活用を」 発注者に指導求める

日本電設工業協会(電設協、山口博会長)は11月15日、国土交通省との定例懇談会を開き、高騰した資材価格の費用負担について意見を交わした。電設協は、民間の電気工事においてもスライド条項の適用が有効なことを訴えるとともに、適正な契約変更に応じない民間発注者に対する指導を国交省に求めた。
 懇談会では、請負契約における物価高騰などのリスク分担をテーマとした。中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会が、「リスク対応に備えた予備的経費」を契約書に明記すべきとする中間まとめを示したことに対し、電設協は、受注競争を背景として「余裕のある契約はほとんどない」という民間工事の実態を説明。急激な資材高騰に対しては、スライド条項の適用が妥当だとした。
 電気設備の主要資材である分電盤や配電盤については、個々の発注者に応じて仕様が異なることから、価格高騰を客観的に示すことが難しいことも説明。国交省に対し、物価資料に掲載のない資機材について、客観的に価格を説明するのにどのような資料が必要になるかを示し、受発注者へ周知するよう要望した。
 その上で、急激な物価変動の際に契約変更に応じない民間発注者に対して、指導・勧告が可能な仕組みが必要だとした。
 また、工期延長に伴うコストアップの負担についても話し合った。元請けが費用を負担せず、下請けの持ち出しになっている事例が少なくないことを説明。設備工事業者に責任のない工期延長による費用増加や、元請け側の監理不足による費用増加に対し、国交省が適切に指導するよう要望した。
 山口会長は懇談会後の会見で、時間外労働の罰則付き上限規制が24年4月から建設業に適用されることを踏まえ、「最大限の自助努力を行う」と強調。それでも限界があるとし、業界を挙げて適正な商慣行を形成する必要があるとした。地域や企業規模によって、時間外労働規制の切迫感に温度差があることも説明し、改めて周知する必要があるとした。

提供:建通新聞社