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2023/11/28

地方自治体のICT活用 中小普及・コストに課題

 ICT活用工事を実施する上で、都道府県・政令市の約8割の団体が「中小企業への普及」と「導入コスト」に課題を抱えていることが、国土交通省の調査で分かった。これらの課題は、インセンティブの見直しや、補助金・助成制度の創設で対応している団体に多く見られた。生産性向上などでICT活用のメリットを実感している団体も多かった。
 国交省が、都道府県47団体と政令市20団体の計67団体にアンケート調査を実施したところ、ICT活用工事を実施する上での課題について、54団体が「中小企業への普及、企業間格差の拡大」と「建機導入などのコスト」を挙げ、全体の80・6%を占めた。以下、「技術者不足、人材育成」が49団体、「見積もり採用や経費補正率の妥当性」が39団体、「適用できる工事が少ない(小規模現場や市街地など)」が31団体で続いた=グラフ参照。
 これらの課題のうち、「中小企業への普及、企業間格差の拡大」に対しては、6団体がインセンティブの見直しや評価加点により対応していると回答。この他、活用を促進するための協議会を設置している自治体が2団体あった。別の1団体では、ICT機器メーカーと施工業者のマッチングに取り組んでいた。
 建機導入などのコストの課題に対しては、補助金・助成制度を活用している自治体が11団体あった。例えば、大分県では、県内の建設業者に対し、ICT建機などの導入経費の一部助成を始めていた。
 技術不足、人材育成といった課題に対しては、32団体が「研修・体験会場などを開催している」と回答。2団体がアドバイザー制度を設けていた。
 小規模や市街地の現場など適用できる工事が少ない課題に対しては、14団体がICT機器の部分的な活用を容認していた。
 ICT活用工事のメリットについては、38団体が「作業効率の向上」、24団体が「安全性の向上」、22団体が「省人化」、16団体が「工期の短縮」を挙げた。具体的には、作業時間が約3割減少、安全性が6割向上、さらに省人化では必要な人員が約4割減少、全体の生産性が1〜3割上がったという。
 建設業では、2024年4月からの残業時間規制に備え、ICT活用などによる現場作業の効率化、生産性を高める取り組みが求められている。ICT活用工事は、国交省の直轄土木工事で実施率が9割近くある一方で、地方自治体の発注工事や、中小企業への普及促進が課題となっている。

提供:建通新聞社