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2024/02/06

頭首工の設計基準改定案 耐震照査、保全管理を追加

 農林水産省は、頭首工の設計を対象とした土地改良計画設計基準と運用、解説の改定案をまとめた。既設の耐震性能照査に関する内容を追加するとともに、保全管理に関する項目を新設。新設頭首工の設計を想定した内容が中心となっていた現行基準から見直す。2022年に発生した明治用水頭首工で発生した漏水事故で得られた知見も反映する。
 3月に開く農業農村振興整備部会で報告し、その結果を踏まえて今年度中に基準を改定する。
 設計基準は、設計に際して順守しなければならない基本的な事項。運用・解説で具体的な意味、解釈などを示している。
 08年の前回改定から15年以上が経過しており、農業水利施設の戦略的な保全管理が求められている現在の社会状況を踏まえて内容を見直すことにした。
 主な改定点を見ると、耐震化技術の関連では、既設頭首工に関する耐震性能照査の記載を拡充。施設の重要度に応じた耐震性能照査、耐震化対策の実施を書き込む。20年度に改定された国土交通省の河川構造物の耐震性能照査指針など、関連する指針にある最新の考え方を反映させる既設頭首工が備えるべき耐震性能の基本的な考え方を示し、現場条件や構造条件を踏まえた照査を求める。
 新設する機能保全に関する項目では、施設の老朽化に備え、将来にわたって安定的に機能を発揮させるため、適切な補修・補強対策を選べるようにする。機能診断の方法や性能評価手法、保全管理対策の考え方などを示す。堆砂や河床低下など、頭首工に特有の性能低下について対策を記載する。
 明治用水頭首工で漏水事故が発生したことを踏まえ、水の抜け道ができるパイピングによる浸透破壊への対応も盛り込む。堤体やエプロンに生じる支障の留意点を示すとともに、直接的な確認が困難な場合でも水位・水圧などを日常的に監視・分析することで支障を早期に把握できることなどを示す。

提供:建通新聞社