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2024/02/07

技能実習に代わる新制度 転籍制限は1〜2年で

 政府は2月5日、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労」※の方針案を自民党の特別委員会に示し、了承された=写真。外国人が自身の意向で就労先を変える「転籍」については、同じ受け入れ機関での「1〜2年」の就労を求めることとし、政府有識者会議が報告書で示した「1年超」よりも幅を持たせた。関係閣僚会議での決定を経て今国会に関連する法案を提出する。
 本人の意向による転籍は、現行制度では原則、認められていない。育成就労制度への見直しで転籍が可能となることで、特に地方の受け入れ企業からは都市部への人材流出を懸念する声が寄せられていた。
 自民党の特別委は、短期間での転籍が前提となると、受け入れ機関が育成計画を立てられなくなる恐れがあると指摘。これを踏まえ、転籍までに要する期間を「1〜2年」とし、職種ごとに実態に合わせて定めることとした。
 転籍の要件として外国人に求める日本語能力は、日本語能力試験のN4相当を基本とする。転籍に際して適切な労働契約を結べるよう、業種ごとの実態に応じて決める。
 転籍支援はハローワークと外国人技能実習機構に代わる機構などが担うこととした。転籍そのものを目的とした悪質なブローカーの介在を排除する狙いがある。
 育成就労から特定技能1号への移行に際しては、N4相当の試験への合格を要件とする。有識者会議の報告書では試験だけでなく、日本語講習の受講も認めていたが、より厳格化した。
 現行の技能実習制度により、建設業では8万8830人(2023年10月時点)が働いている。人材育成に向けた制度という位置付けだが、労働力としての存在感は大きい。一方で、22年には建設関係で4717人が失踪しており、業種別では最多だ。今回の見直しが、就労環境の改善や、現場を支える人材の育成・確保につながる実効性のあるものとなるかが注目される。

※育成就労制度
 現行の外国人技能実習制度に代わる新制度。人材の育成だけでなく、確保策としての側面を明確化し、在留資格「育成就労」を創設する。特定技能制度の入口として改めて位置付け、職種の対応関係も整理する。

提供:建通新聞社