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2024/02/16

在籍出向緩和へ 企業集団制度

 国土交通省は、監理技術者や主任技術者を親会社が雇用したまま子会社などに出向させる「在籍出向者」の取り扱い(企業集団制度)を緩和する。親会社と子会社双方が経営事項審査を受審している場合、これまでは親会社・子会社間、子会社・子会社間の在籍出向を認めていなかったが、在籍出向後3カ月以降の配置を認めるようにする。2月15日に開いた「適正な施工確保のための技術者制度検討会(第2期)」の第6回会合で提案し、有識者の意見を求めた。早ければ4月からの運用を目指す。
 企業集団制度の考え方について、国交省が定めた監理技術者制度運用マニュアルでは、「監理技術者、主任技術者と所属企業との間に直接的かつ恒常的な雇用関係があることが必要(派遣や在籍出向者は配置不可)」と規定している。一方で、親会社が子会社の実質的な支配権を持ち、親会社・子会社のどちらかだけが経審を受審している場合に限って、国交省への届け出(企業集団制度)をもって特例的に在籍出向を認めている。
 親会社が子会社の株式50%以上を有するなど実質的に支配していれば、技術者の育成方針や技術のノウハウが共有されていることとし、恒常的な雇用関係があるとみなしている。
 一方、公共工事での入札機会の拡大を狙ったペーパーカンパニー設立などへの懸念もあり、親会社と子会社の両者が経審を受審している場合、現行では在籍出向を認めていない。
 ただ、企業間の協業や資本関係の複雑化、技術者不足を背景に、日本経済団体連合会が内閣府の規制改革推進会議で緩和を求めていた。
 そこで、国交省は対応策を検討。企業集団制度の新タイプを創設する形で、在籍出向後3カ月以降であれば、親会社と子会社の双方が経営事項審査を受審している場合でも、親会社・子会社間、子会社・子会社間での在籍出向を認めるようにする=図。
 技術者制度検討会ではこの他、2024年4月からの時間外労働の上限規制適用を踏まえ、「監理技術者などの専任の取り扱いの明確化」「監理技術者を支援する者の配置」を提案した。
 監理技術者の専任については、「遠隔配置で問題ない」といった解釈を具体事例を示し明確化。監理技術者等の不在時の対応では、1〜2日程度の短期間の不在の場合、適切な施工ができる体制の確保を前提に、発注者の了解を不要とすることなどを新たに明示した。
 監理技術者の支援では、バックオフィスなどの支援事例を、監理技術者制度運用マニュアルに明示。監理技術者を支援する者については、これまで大規模な工事現場を対象に、同じ建設業者に所属する技術者の中から配置することが望ましいとしてきたが、「大規模な工事現場に限定しない」「技術者に限定しない」「同じ建設業者に所属する者に限定しない」とマニュアルを改める。
 マニュアルは23年度中に改正し、4月からの運用を目指す。

提供:建通新聞社