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2024/02/16

新耐震建築の被害分析へ 被災住宅の継続使用も検証

 国土交通省は2月14日、能登半島地震による建物の構造的な被害の原因を調べる有識者委員会を初めて開いた=写真。新耐震基準の建物で生じた被害の原因分析や、被災した住宅の継続使用の可否に関する検証などを行う。今秋にもまとまる検討結果を踏まえ、政策的な対応を考える。
 初会合では、国交省国土技術政策総合研究所と建築研究所が木造建築の被害調査の結果を報告した。建築年代が古い木造建築物の倒壊・大破が多数確認された。比較的新しい建物の被害は軽微なものが多かったが、一部では被害が見られた。
 この結果を受け、委員会では、現行の基準の建物について、被害の有無を調べるべきとする方向性が示された。構造的な耐震安全性の確保に向けて、木造住宅を対象に、耐震基準の新旧に応じた被害状況を調べるとともに、新耐震建物で被害が見付かれば原因を分析する。被害のなかった例についてもその要因を調べる。
 鉄筋コンクリート造の建物の沈下、転倒被害については、基礎杭や地盤の影響を分析する。
 被災した建物を使い続けられるか否かも検討課題となる。新耐震建物の損傷を踏まえて居住の可能性を調べたり、非構造壁の被害の原因や、耐震改修・免震化の効果を確かめたりする。過去の液状化被害などの経験、知見をどのように生かしたかについても検証する。
 石川県輪島市など特に被害の大きかった地域を対象に建築学会が行う網羅的な調査の内容も踏まえ、委員会での検討を深める。5〜6月に被害状況の分析結果を確認し、今秋にも結果をまとめる。
 委員長には東京大学生産技術研究所の中埜良昭教授が就いた。
 国交省の今村敬建築指導課長は開会に当たり、「委員会での検証結果を踏まえ、国交省として必要な対策を講じていく」と述べ、活発な議論を促した。

提供:建通新聞社