トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2024/02/19

公共工事設計労務単価 12年連続で増加

 国土交通省は、3月1日から適用する公共工事設計労務単価を発表した。全国・全職種平均の単価は前年度比5・9%増の2万3600円(伸び率は単純平均、金額は加重平均)となり、12年連続で上昇。伸び率は過去10年で最も高くなった。金額は1997年度に公表し始めて以降、初めて2万3000円台に乗り、6年連続で最高額を更新した。
 今回は、これまでも加味してきた個人負担に必要な法定福利費相当額や有給休暇取得に要する費用、生産性向上の取り組みに要する費用、元請け企業から技能者に直接支給している手当に加え、時間外労働の上限規制適用に対応するために必要な費用も新たに反映した。
 単価算出手法を大幅に見直した13年度(12年度比15・1%増)から12年連続で上昇。見直し前12年度の単価と比べると75・3%増となった。
 労働者数の多い主要12職種は前年度比6・2%増の2万2100円。伸び率は交通誘導警備員Bが7・7%増と最も高く、運転手(一般)が7・2%増で続いた。大工の4・9%増が最少だった。
 労務単価は、公共工事の現場に従事する技能者の賃金について、市場での実勢価格を反映して算出する。47都道府県・51職種別に設定している。国交省などで調査し、集計結果を踏まえ毎年改定している。
 1997年度に初めて公表して以降、公共投資額の減少やダンピングの横行などで2011年度まで下落し続け、全国全職種平均の単価は1万3047円まで落ち込んだ。13年度に単価算出手法を大幅に見直したのをきっかけに単価が上昇に転じ、現在まで上がり続けている=表参照。
 新単価は3月1日以降に契約する国交省・農林水産省の直轄工事に適用する。
 今回、前年度を上回る伸び率となった要因について国交省は、デフレ脱却に向けた政府全体の動きを受け、価格転嫁の取り組みをはじめ、賃上げの機運が高まる追い風があったと分析。さらに、安定的な公共事業予算の確保や適正価格での発注、ダンピング対策、総合評価落札方式での賃上げ加点などが建設業界での賃上げに結びついたと見ている。今後は、上昇した設計労務単価が技能者の賃金として確実に行き渡るよう、引き続き、建設業界団体などを通じて、元請け・下請け業者に強く働きかけていくとした。

提供:建通新聞社