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2024/02/22

建設業の賃金水準 全産業より30万低く

  建設技能者を含む建設業全体の賃金水準(年収)が2022年時点で466万円となり、全産業より30万円ほど低いことが分かった。厚生労働省の賃金構造基本統計調査データに一人親方などの賃金水準を加味するなど、より実態を反映する形で、国土交通省で集計し直した。元の賃金構造基本統計調査結果では、22年時点で建設業全体の年収が500万円となり、全産業の494万円を追い抜いていた。
 国交省の再集計では、建設業全体の賃金水準が年収ベースで、22年に466万円となった。対する全産業は494万円で、建設業の方が28万円低かった。12年時点では、建設業全体が403万円、全産業が475万円と70万円ほどの開きがあったが、この10年間で建設業全体の賃金水準は15・6%上昇し、全産業との差を40万円ほど縮めた。この間、公共工事設計労務単価は32%上昇しており、労務単価の伸びが民間工事に波及し始めた可能性もうかがえる=グラフ参照。
 再集計の結果について国交省の担当者は、「建設業での技能者の割合は6割を超えるが、賃金構造基本統計調査の調査結果に占める技能者の割合は3割程度にとどまっていた。一人親方をはじめ小規模事業者の従業員の賃金水準も含めることで、より実態を反映できた」とした。22年の賃金構造基本統計調査で対象となった建設業就業者数は、全体で192万人で、このうち技能者は72万人と全体の3割程度だった。そこで、1〜9人の事業所の被雇用者や一人親方を加え、再集計した。
 建設業の賃金水準は近年、技能者の1日当たりの賃金推移も含めて、総じて上昇傾向で推移している。ただ、実態は全産業に比べ依然開きがある。建設従事者は、猛暑や積雪など厳しい気象条件の下で作業に従事するケースが少なくない。他産業との人材獲得競争に勝ち抜くためには、こうした労働環境にふさわしい処遇の実現が急がれる。

提供:建通新聞社