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2024/03/15

安衛経費を内訳明示 標準見積書の作成手順まとまる

 国土交通省は、安全衛生経費を内訳明示できる標準見積書の作成手順をまとめた。型枠と左官の2工種の専門工事業団体が先行的に作成した標準見積書を踏まえたもの。他の専門工事業団体が標準見積書を作成する際の参考にしてもらう。3月14日に開いた「安全衛生対策項目及び標準見積書に関するワーキンググループ(WG)」で作成手順案を提示し、了承を得た=写真。
 作成手順によると、安衛経費は、元下間で安衛対策項目の確認表を使い、下請けが費用負担すると確認した項目について、明示することとした。基本的な算出方法としては、工事現場の安衛経費は、安衛管理常駐者の経費や開口部の養生措置などを個別に積み上げ算出することとした。
 一方、作業員にかかる安衛経費は、積み上げ計算と率計算の二つの方法を提示。積み上げ計算では、保護帽、安全靴などについて、使用する延べ人工数に耐用日数で除した単価を乗じて積算する。率計算は、積み上げ計算が困難な場合に、自社の施工実績に基づくデータを用いて、工事金額または労務費に対する安衛経費の割合を算出し、それを当該工事の工事金額に乗じて安衛経費とすることとした。それぞれ具体的な計算式を例示した。
 先行2工種のうち型枠の標準見積書は、日本型枠工事業協会が作成。現場ごとの直接工事費に安衛経費率を乗じた上で、型枠の施工面積当たりの安衛経費を割り出す。安衛経費は一般管理費の内数とせず別枠で明示する。
 左官は、日本左官業組合連合会がまとめた。1人当たりの年収に対する年間安衛経費の割合を基に、安衛経費率を「9・0%」と算出。それに労務費を乗じる形で、当該工事の安衛経費を求める。これとは別に、個別現場で必要な安衛経費がある場合は、積み上げ方式で積算し、現場一律の安衛経費と併せて見積書に書き加えるとしている。
 先行2工種の標準見積書は、型枠が個社・現場ごと、左官が団体・現場一律の仕様となっている。国交省の担当者は、工種や契約の形態に見合った標準見積書を策定することが重要としている。
 国交省は、建設工事での労働災害防止対策を適切に実施する上で、必要な安衛経費が下請けまで確実に支払われるよう、安衛対策項目の確認表や、安衛経費を内訳明示できる標準見積書の作成・普及に取り組んでいる。
 会合の冒頭で、国交省の蒔苗浩司大臣官房審議官は「安全衛生経費は建設工事従事者の安全と健康の確保のために重要なもの。この取り組みが実効性あるものとなるよう、意見をいただきたい」と述べ、活発な議論を促した。

提供:建通新聞社