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2024/03/21

建設産業の現状と課題 建設経済研究所が最新レポート

 建設経済研究所(RICE)は、「日本経済と公共投資」をメインテーマとしたレポート(建設経済レポート76)をまとめた。毎年1回、春にまとめている。今回は、3年ぶりに「建設投資の中長期予測」を分析。最も慎重なシナリオでは、2035年度の建設投資額が20年度比で12%以上減少すると予測した。「都道府県別の投資額」や「建設技術者・技能労働者の将来推計と需給ギャップ」などについても分析した。3月21日にRICEのホームページに掲載する。
 建設投資の中長期予測では、人口動態や経済成長率などの見通しを踏まえ、35年までの傾向を予測した。
 35年度は名目値で66・4兆〜88・1兆円、実質値では53・9兆〜64兆円と見込む。
 建設投資は最も楽観的なシナリオでも20年度比で4%程度の上昇にとどまり、最も慎重なシナリオでは12%以上の減少になるとした。
 中でも、政府建設投資は名目値で23・8兆〜28・9兆円、実質値で18・6兆〜22・6兆円と推計。最も楽観的なシナリオでも実質値が20年度比で2・2%減になると予測した。
 都道府県別の建設投資額は、23〜24年度の投資額を予測。直近5年間を見ると名目ベースでは、北海道、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の5都道府県がそれぞれおおむね3・5兆円を超え、これらの5団体で全国に占める投資額の割合が35%前後になることが分かった。
 中でも東京都は15%程度を占める年度もあった。また、半導体工場の誘致などで最近注目を集めている熊本県は、全国に占める割合が1%台後半まで高まる。
 建設技術者・技能労働者の将来推計と需給ギャップは、国勢調査の集計データを活用し、35年までの建設技術者と技能労働者の将来人数を分析した。
 建設技術者は、20年の約50・6万人に対して、35年に約47・1万〜58・2万人とやや減少から増加と推計。
 一方、技能労働者は20年の約245万人に対して、35年に約166万〜193万人と、減少から大幅な減少と推測した。技能労働者については、一層の生産性向上を加味した分析でも不足が解消されないともした。
 この他、「インフラ維持管理におけるDX化のあり方」「地域における建設企業の意欲的な取り組み」「地域建設企業の防災および災害対応における社会連携」「建設産業の経営財務分析」「インボイス制度導入が一人親方に与える影響」「建設キャリアアップシステムの普及がもたらす効果」「公共工事の事務手続きのデジタル化を通じた負担軽減の取り組み」「欧州の建設業における人材確保・育成に向けた取り組み」も分析した。
 RICEは3月22日に「建設経済レポート76」の報告会を開催する。会場は浜離宮建設プラザ(東京都中央区)。時間は午後1時30分〜4時30分。会場・オンラインの併用開催とし、現在、参加者の受け付けを行っている。参加費は無料。RICEホームページ(https://www.rice.or.jp/lecture/various_lecture/)から申し込む。

提供:建通新聞社