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2024/04/24

ダムの3次元データ 応札段階から活用

 国土交通省は、ダムの本体工事を対象に、BIM/CIMモデルや点群データなどの3次元データを試行活用する。設計段階で作成したデータを応札段階で入札参加者に提供し、技術提案や施工計画の検討に生かす。初弾となった利賀ダム(富山県)に続き、1月には鳥海ダム(秋田県)の本体建設(第1期)工事を公告。今後、応札者の意見を聞いてデータ活用の改善につなげる。
 国交省は、ダムのような大規模構造物で先行して3次元データの構築に取り組んできたが、工事発注図面は2次元設計となっており、設計を担う建設コンサルタントにとっては二度手間となっていた。3次元データは工事受注者の決定後にゼネコンに提供していたため、入札段階の技術提案などに生かすことができなかった。
 そこで、利賀ダム・鳥海ダムでは、応札段階から3次元データを入札参加者に提供。例えば利賀ダムでは、急峻な山間部に位置して進入路が限られ、現況確認が困難になっていることから、3次元データを参考にしてもらう。乏しい平地を施工ヤードとして活用する必要があり、技術提案や施工計画にも活用する。事前検討の精度を高めて工事受注者の手戻りを少なくし、ダム整備による治水効果を早期に発現させる。
 3次元データに必要な部材や数量、金額などの属性情報と、その保存・引き継ぎ方法については、2023年度に標準的なガイドライン案を作成。工事発注図書としての3次元データの使用を規定した。今後、試行工事を通じて適用性を確認する。
 着工後は、出来高管理の高度化や無人化施工、安全教育の高度化といった場面でも3次元データを用いる。住民説明や関係者協議での活用も視野に入れている。
 一連の取り組みを通じて、ダム事業監理や監督検査の高度化、業務の効率性・安全性の向上につなげる。
 利賀ダムは、堤高112b、堤頂長255bの重力式コンクリートダム。鳥海ダムは堤高81b、堤頂長380・4bの台形CSGダムとなっている。いずれも、河川分野のDXの先行的な事例として位置付けられている。

提供:建通新聞社