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2025/03/10

障害者・高齢者の設計参画 大規模公共建築に目標

 国土交通省は、車いす使用者向けのトイレや駐車場の設置義務を強化するバリアフリー基準の見直しを受け、建築設計標準の改正素案をまとめた。バリアフリー設計を推奨する現行の位置付けを改め、「標準的な整備内容」として関係者に対応を求める。建築プロジェクトの基本構想・設計段階から高齢者や障害者の意見を反映できるよう、当事者参画ガイドラインを新設。大規模な公共建築工事では2030年度までに当事者参画を原則化する。
 建築設計標準は、バリアフリー法に基づき建築物を設計する際の指針。バリアフリー法の改正施行令が6月1日に施行されるのに合わせ、有識者や障害者・高齢者団体、事業者団体で構成するフォローアップ会議で見直しを進めている。
 車いすトイレについては、「建物に1カ所以上」としている現行基準を「各階に1カ所以上」に見直すことに合わせ、設計の考え方を大幅に変更。トイレの個室の種類を車いす使用者用やオストメイト用、乳幼児用などに分け、施設全体で機能分散して設ける。
 車いす使用者用の駐車場については、現行の「1台以上」から全体の台数に占める割合で定める形に見直す。設計標準にもこの考え方を反映するとともに、後部ドアから円滑に乗降できるよう、乗降スペースを設けるよう求める。
 当事者参画のガイドラインは、不特定多数が利用する建築物や、主に障害者・高齢者が利用する建築物を対象とし、公共・民間は問わない。
 参画の方法は、説明会やパブリックコメント、アンケート、見学などを例示し、特にワークショップが軸になるとした。このため、必要な予算・工期の確保も求める。
 26〜30年度を対象期間とする新たなバリアフリー整備目標では、床面積の合計が2000平方以上の特別特定建築物に対し、30年度までに原則として全ての工事で当事者参画を実現するとの目標を設定する。現状の実施率は55%程度。これらの建物のバリアフリー基準への適合率は、現行の約67%を70%にまで引き上げる。

提供:建通新聞社