国土交通省は、全国で延長3400`が残存しているとされる鉛製給水管の解消に向け、5月に水道事業者を対象とした実態調査を開始する。技術課題の掘り起こしや、優良事例の検討を経て、2025年内に対応方針を決める。
鉛製給水管は、1980年代後半まで全国で使用されていた。水に溶け出した鉛による健康影響を防ぐため、04年に厚生労働省が策定した水道ビジョンでは、早期に鉛製給水管をゼロにするとの目標を設定。それでも、全国の水道事業者のうち、鉛製給水管が残存している割合は36%、残存延長は約3400`に及ぶ。
直近10年間では、残存延長が毎年約290`縮小。現在のペースであれば、解消までに約12年間かかる見通しだ。
ただ、鉛製給水管が残存している水道事業者463者のうち敷設替え計画があるか、検討中なのは47%と半数以下にとどまる。
各家庭に引き込まれた給水管は私有財産であるため、鉛製給水管が公道と宅地内にまたがる場合、水道事業者が一律に対策することが難しい。古い時期に建設された住宅の場合、鉛製給水管の残存確認自体が難しいという課題もある。
こうした課題に対応するため、国交省は水道事業者を対象とする実態調査を検討。合わせて、水平展開すべき優良な取り組み事例や、住民への広報、残存調査や敷設替えに関する技術課題などを検討し、25年内に対応方針をまとめる。
提供:建通新聞社