国土交通省は、直轄工事の代価に対する前払金を現場管理費と一般管理費等に充てることを可能とする「使途拡大」措置を2025年度から恒久化することに決めた。これまでは特例として認めていたが、国交相・財務相間の協議が整ったことを受け、保証事業会社に3月31日付で通知した。
前払金は通常、資材購入や労働者確保などの着工準備に充てることとされており、下請けや資材業者に支払われる直接工事費(材料費、労務費、機械器具賃借料、機械購入費、動力費)、共通仮設費(支払運賃、修繕費、仮設費)に使途を限っていた。
直轄工事では16年度から、前払金の使途を現場管理費(労働者災害補償保険料を含む)や一般管理費のうち、当該工事の施工に必要な費用にまで拡大する特例措置を実施。前払金額の25%を上限とし、前払金を元請け経費に充てることを認めている。具体的には、現場管理費に含まれる現場の常駐社員の給与や法定福利費、一般管理費に含まれる本支店社員の給与などが該当する。
使途拡大の目的は、予算の早期執行による速やかな経済効果の発現だ。入金された前払金が口座にとどまることのないよう、使途拡大で元請けに早期支払いを促し、市中に早期に行き渡るようにする狙いがある。
16年度以降、年度ごとに特例措置の継続を決めてきたが、年度をまたぐ工事では前払金の使用に関する規定の契約変更が必要になるなど、使い勝手の面で課題も指摘されていた。恒久化することで、使途拡大の効果をさらに表れやすくする考えだ。元請け社員の給与にも充てられるため、賃上げの後押し効果も期待できる。
25年3月31日までに請負契約を締結した工事については、受発注者で協議した上で請負契約を変更し、前払金の使途を拡大することを認める。
前払金の使途を拡大する特例措置は、地方自治法施行令・施行規則に基づき47都道府県を含め多数の市区町村も既に導入している。国交省は、直轄工事での恒久化を自治体にも参考として通知し、積極的な対応を促す。
提供:建通新聞社