政府の国土強靱化実施中期計画の事業規模が、2026年度からの5年間で「おおむね20兆円強」とすることが大筋で固まった。20兆円を最低ラインとし、今後の資材価格・人件費の上昇に対応できるよう、毎年の予算編成で上乗せできる枠組みとする。毎年度の予算編成で価格上昇分が反映されれば、建設業界が求めていた「5年・25兆円」の事業規模に近づけることもできるという。
4月1日の国土強靱化推進本部に報告された実施中期計画の素案には、これまで焦点となっていた事業規模を「おおむね20兆円強」と記載。6月をめどに閣議決定する計画でも、事業規模はこれ以上明示せず、規模の確定は毎年度の予算編成に委ねる。
計画の事業規模を巡っては、日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)の3団体が足並みをそろえ、「5年25兆円」の事業規模とするよう、政府・与党に要望していた。
4月2日の全建の要望に対し、自民党幹部は「20兆円強は最低限」であることを強調。毎年度の物価上昇を反映し、「25兆円に積み上げることが大事」と応じた他、建設業界が物価上昇や事業量の増加を引続き働き掛ける必要性も示した。
5か年加速化対策では、事業規模を「15兆円程度」としてたため、この規模が上限となり、対策決定後の物価上昇に十分に対応できなかった。23年度補正予算と24年度補正予算には物価上昇分を上乗せする「国土強靱化緊急対応枠」が設けられたものの、結果として実質的な事業量の減少を招いた。
こうしたことを踏まえ、実施中期計画では事業規模を最低ラインとし、資材価格や人件費の上昇に備える。全建の試算によると、5か年加速化対策の15兆円の事業量は、これまでの物価上昇を考慮すると1・25倍の18・8兆円になる。これをベースとして、近年の災害の激甚化・頻発化、毎年度の物価上昇(プラス5%程度)を上乗せすると、5年間の事業規模は25・9兆円になるとしている。
提供:建通新聞社