建設技能人材機構(JAC)は2025年度、労働安全衛生法に基づき特定技能外国人向けに提供している無料の技能講習を大幅に拡充する。車両系建設機械や玉掛けなどの現地講習の受講枠を前年度の10倍以上とし、1530人まで受け付ける。オンライン特別教育は10講座の追加を予定。外国人技能者のスキルアップを後押しし、さらなる処遇改善につなげる。特定技能外国人と同じ会社に就労する技能実習生も申し込める。
一部の危険・有害作業に労働者を従事させるには、安衛法に基づく技能講習や特別教育の受講が必要になる。日本語の受講は外国人にとってハードルが高いため、JACは今年1月に技能講習の提供を開始。ニーズの大きい玉掛け、車両系建設機械運転などの5科目でベトナム・インドネシア語による無料の現地技能講習を提供し、3月までに144人が受講した。
開催数、エリアの拡大要望が企業、専門工事業団体から寄せられたため、25年度は教習機関としてPCTに加えてキャタピラー教習所講習の協力を得て規模を大幅に拡充。5科目で延べ1530人の受講を受け付ける。4月3日にホームページで第1期分として、360人の募集を開始した。
技能講習の受講が建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル2評価の基準となっている職種も多い。新科目としてガス溶接の追加や、英語・中国語・カンボジア後への対応も検討しており、外国人の活躍の機会確保を目指す。
安衛法に基づく無料のオンライン特別教育は、24年度にフルハーネスや足場の組み立てなど7科目について提供。ベトナム語や英語、インドネシア語、中国語、カンボジア語の5カ国語で対応し、延べ983人が受講した。
25年度は「石綿取り扱い作業者」「特定粉塵作業従事者」など10科目を追加し、2350人の受講を想定している。これまでは座学をベースとし、実技教育が必要な科目は企業で実施していたが、25年度はオンラインでの学科受講後、教習機関と連携して実地での運転特別教育の提供も検討している。また、対応する言語についてもタイ語、ミャンマー語、フィリピンの公用語であるタガログ語の追加に、ベトナム語や英語、インドネシア語、中国語、カンボジア語の5カ国語で取り組む。
日本への入国を目指す海外の外国人向けの特別教育も予定。ベトナム、インドネシアを対象にフルハーネスや足場の組み立てに関するオンライン教育を提供し、日本での円滑な就労を支援する。
提供:建通新聞社