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2025/04/09

資本性借入金で負債控除 経審評点アップも

 国土交通省は、経営事項審査の「資本性借入金」の取扱いを見直し、負債ではなく自己資本と見なす方針を決めた。企業の借入残高のうち、資本性借入金の金額を審査時に示すことで、X評点(経営規模)とY評点(経営状況)をアップできるようにする。資本性借入金の活用を促す政府方針に沿ったもので、特に資金繰りが悪化しやすい地場中小の企業の財務体質強化につながりそうだ。7月1日から適用する。
 資本性借入金は、資本性劣後ローンとも呼ばれ、帳簿上は負債だが資本に準じた扱いをされる。借入時の償還期間が5年超であることや、期限一括での償還、企業が破綻した際の返済順位が後回しになる(劣後する)など、一定の要件が定められている。政府系金融機関や一部の民間銀行が取り扱っている。
 資本性借入金を活用しても、新規に借り入れても資本と見なせるため、財務諸表は改善する。毎月の元本返済が不要で利息のみの支払いとなるなど、手持ち資金が厳しくなりやすい建設業の資金繰りを改善する効果も期待できる。災害やコロナ禍の資金繰り支援にも使われてきた。
 国交省は、建設業を取り巻く経済状況や、資本性借入金の活用促進を求める政府方針を踏まえて経審での取扱いを見直すことにした。経審の審査基準日が3月31日以降の企業について、7月1日以降に受審申請する際、資本性借入金を負債から控除し、自己資本に追加する。
 対象となる審査項目は、Y評点のうち▽負債回転期間▽自己資本対固定資産比率▽自己資本比率―と、X評点の自己資本額。いずれも自己資本の評価対象額が増すため、点数は上昇する。
 審査に当たっては、資本性借入金であることを確認するため、公認会計士・税理士・建設業経理士1級のいずれかによる証明を受ける必要がある。その上で、自己資本と見なす金額を記載した経営状況分析申請書と根拠資料を提出する。
 金融機関からの借り入れ以外で資本性借入金と見なせる制度としては、日本政策金融公庫による挑戦支援資本強化特例制度や新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付制度、災害対応型劣後ローンがある。中小企業活性化協議会による資本的借入金や、日本政策投資銀行の危機対応業務による中小・中堅・大企業向け劣後ローンも該当する。
 事務取り扱いの方針は3月28日付で建設業団体に事務連絡として発出し、事前に周知した。取り扱いの詳細は7月の施行までに詰め、改めて通知する。

提供:建通新聞社