建設業で外国人技術者の採用意欲が高まっている。国土交通省が3月に開いたセミナーには、年々厳しくなる国内人材の新卒採用を補おうと、定員を上回る400人以上が参加。セミナーの参加者からは「外国人材を採用するための情報が少ない」といった声も聞かれている。昨年10月までに入国者が10万人を超えた技能人材と異なり、外国人技術者の採用ルートはまだまだ確立していない。
国内の建設業で働く外国人は2024年10月時点で17万7902人。生産年齢人口の減少が直撃し、人手不足に悩む建設業では、この10年で外国人材の受け入れが本格化。10年前と比べ、国内の外国人材の数は8・6倍に増加している。
技能実習と特定技能の在留資格を取得している外国人はこのうち7割を占めているが、技術者として働くことができる在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の外国人も増加している。15年10月に1958人だった技人国の在留資格取得者は24年10月に1万6161人と8・2倍に増えた。
建設経済研究所の将来推計によると、国内の建設技術者は都市部で増加する見込みだが、北海道では2035年に22・9%減、東北では20・9%減と、地方で顕著に減少する見込みだという。この先も国土強靱化関連の堅調な投資が見込まれる中、外国人技術者の受け入れニーズはさらに高まる可能性が高い。
ただ、技能実習生や特定技能外国人と異なり、外国人技術者の採用ルートに定まったルールはない。
技人国の在留資格取得には、国内・海外の大学で建築・土木工学などの学科を専攻して卒業しているか、国内の専門学校で建築・土木工学の学位を得ていることが求められる。「こうした資格を満たす外国人にどのようにアプローチするか」「技人国の在留資格取得にはどのような手続きが必要なのか」といった疑問に答えるため、国交省は受け入れ支援策を講じている。
3月にまとめた「外国人建設技術者の採用・定着に向けたハンドブック」では、人材サービス、コンサルタント、インターンシップ、企業説明会といった採用ルート別のポイントを解説。外国人技術者の採用実績がある企業の事例も紹介している。
また、全国建設業協会も「外国人技術者の採用ガイド」を作成。このリーフレットでは、技人国だけでなく、「特定活動(告示第46号)」についても取り上げている。この在留資格には、日本の大学や専門学校を卒業した留学生を想定した在留資格で、技人国と異なり、現場での作業に従事できる特徴がある。
提供:建通新聞社