建設経済研究所と経済調査会は、2025年度の建設投資を名目値ベースで前年度比1・3%増の74兆9300億円、実質値ベースで0・9%減の57兆0596億円とする予測をまとめた。前年度より伸び率は縮小するもの、建設投資全体としては引き続き堅調な投資が続くと想定。名目値ベースで微増、実質値ベースで同水準を見込んだ。ただ、米トランプ政権が打ち出した「相互関税」の影響は未知数で、今後の動向にはさらなる留意が必要だとした。
政府分野投資については、国・地方の25年度予算が前年度並みに確保されていることから、名目値は1・6%増の24兆0500億円とした。公共工事設計労務単価の全国・全職種平均が6・0%増となるなど、労務単価や資材価格の上昇が継続するものの、予算の確保段階ではこれらを反映できていない可能性があるとし、実質値では0・4%と微減の18兆3746億円を見込んだ。
民間住宅投資については、住宅着工戸数が0・9%減の79・0万戸となるものの、投資額は建設コスト上昇の影響で名目値で微増とし、2・7%増の17兆4200億円になると予測。実質値は0・9%増とほぼ横ばいの13兆4075億円になるとした。
民間非住宅建設投資は、海外経済や建設コストの変動などリスク要因はあるものの、引き続き企業の設備投資に持ち直しの動きが見られると分析。着工床面積は0・7%増の3482万平方bを見込み、投資額は名目値が3・7%増の18兆3600億円、実質値が1・4%増の13兆9425億円になると予測した。
民間非住宅を種類別に見ると、事務所は今後の新規供給増加のため、着工床面積が27・1%増加すると想定。店舗は微減、工場は微増。倉庫・流通施設は1棟当たりの床面積縮小、建築費高騰が影響し、6・8%減少するとした。
建築補修は名目値が3・3%減の15兆1000億円、実質値が11兆3350億円を見込む。特に住宅分野では、政府の住宅省エネキャンペーンなどにより、堅調な投資が期待されるとした。非住宅分野ではインバウンド需要に対応したホテル改修、オフィス・生産施設での省エネ対策などを見込む。
米トランプ政権による直近の「相互関税」をはじめとした政策動向の影響については、見通しには反映しなかったものの、注視する必要があるとした。建設投資への影響の経路は不透明なものの、景況感の悪化による民間設備投資意欲の減退や、資材価格・金利の変動などが考えられるという。
提供:建通新聞社