国土交通省は、公共工事に関する発注見通しや入札結果について、予定価格が400万円以下の場合は発注者による公表を不要とする。随意契約の適用可能額が4月から引き上げられたのに合わせて、公表を不要とする金額も引き上げる。入札契約適正化法施行令を改正するための政令案をまとめた。5月下旬にも公布し、7月1日に施行する。
現行の入契法施行令では、予定価格が「250万円」を超える工事について、国の機関や地方自治体に対し、発注見通しと入札結果を原則として公表するよう義務付けている。この金額は、国の工事発注を規定する予算決算及び会計令(予決令)、自治体工事に関する地方自治法施行令の中で、工事の少額随意契約が可能とされた金額を参考に設定したもの。
一方、近年の資機材価格の高騰を踏まえて政府は、工事で少額随契が可能な金額について、国と都道府県・政令市については250万円から400万円、政令市以外の市町村については130万円から200万円へと引き上げることを決定。予決令・地方自治法施行令を改正し、4月から施行した。引き上げは51年ぶりとなった。
これを受け、工事発注に関する情報公表の基準額についても引き上げることにした。発注関係事務を効率化し、受発注者双方の負担を軽減する。少額随契で国や都道府県・政令市とその他の市町村の基準額に差を設けているが、情報公表については一律に400万円を基準額として運用する。
■低入・最低制限価格は現行水準を維持
一方、建設業界では、少額随契の可能な金額の引き上げに合わせ、自治体が低入札価格調査制度や最低制限価格制度の基準額も引き上げることを警戒する声も上がっていた。
こうした懸念を背景に、国交省は都道府県・政令市宛てに4月10日付で発出した通知の中で、低入調査・最低制限価格制度は趣旨・目的が異なるとし、少額随契に合わせて引き上げることは「適当ではない」と明記した。ダンピング対策を強化・徹底する観点から、低入調査などの対象は幅広く捉えることが適切だとの見解を示した。
この他、自治体に対しては、見積もり価格やメーカーの販売希望価格に対して独自の率を一律に乗じて価格を設定すると、実質的に歩切りになると指摘。こうした「単価歩切り」について、行わないよう厳重に求めた。乗率を設定する場合は、市場実態や同種工事での実績との比較など、妥当性の確認を徹底する必要があるとした。
提供:建通新聞社