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2025/04/21

厳しい支払条件「引渡し5カ月後に全額」

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の会員企業を対象とする調査によると、民間工事の一部で請負代金の支払いが著しく遅い発注者がいる実態が明らかになった。竣工まで支払いがなく、請負代金の全額を引き渡しの5カ月(150日)後に支払う発注者も複数あったという=表参照。元請け・下請け間の支払いに対する規制が強まり、大手建設会社は下請けとの支払い条件を改善している。一方、民間発注者・元請け間の支払いには規制がなく、支払い条件の著しく厳しい契約もある。
 2023年11月1日から24年10月末までに竣工した民間工事のうち、請負代金50億円以上の全ての民間工事(または規模の大きい上位5件の民間工事)を対象に支払い条件を調査。会員企業74社が受注した工事617件について回答した。
 請負代金の全額に対し、▽契約時▽中間時点▽引き渡し時▽引き渡し後60日以内▽引き渡し後60日超―の5段階で支払額の割合を聞いた。
 調査結果を見ると、契約時の支払額の割合は平均8・6%。中間時点では37・1%、引き渡し時には14・9%が支払われている。引き渡し後60日以内の支払いが27・8%、60日超が11・2%となり、合計で38・7%が引き渡し後に支払われていることになる。
 調査対象の工事が最も多かった不動産業に限って見ると、引き渡し後60日以内・60日超の支払額の割合は47・8%となり、全産業よりも9・1ポイント高い。
 調査では、特に問題のある発注者の支払い条件の工事についても回答してもらった。最も支払い条件が悪いケースでは、契約から引き渡しまで支払いがなく、5カ月を過ぎて全額を支払う発注者もいた。会員企業が挙げた支払いが著しく遅いケースは、発注者が不動産業の工事が多かったという。

■早期支払いの実現 制度改正を要望

 日建連は、今年3月に下請け取引の適正化に向けた自主行動計画を改定し、原材料費などの価格上昇分を全額転嫁する目標を盛り込んだ。一方、全額転嫁にはサプライチェーン全体で取り組む必要があるとして、民間発注者・元請け間の取引適正化も必要だと主張している。
 支払い条件の厳しい民間発注者の事例も、法令違反に当たるものではない。ただ、下請けの支払い条件の改善や手形支払いの廃止などの下請け契約に対する規制強化に加え、金利も上昇する環境を考慮すると、元請けにとって支払いに関する環境は年々厳しくなっている。日建連は、民間発注者から元請けへの法的な規制がないことを問題視し、国土交通省に早期の支払い実現に向けた制度改正も求めている。

提供:建通新聞社