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2025/04/22

インフラの老朽化 最大の課題は人手不足

 4月15日に開かれた有識者会議で、財務省は今後30年で建設業就業者が現在よりも75万人減少(16%減)するとの見通しを示し、インフラ整備について「供給面の制約を意識する必要があるのではないか」と問題提起した。人口減少を見据え、計画にインフラのダウンサイジングの必要性があると指摘している。
 財務省はまた、建設業就業者が減少したと仮定し、2040年の建設業従事者100人当たりの建設後50年以上のインフラの数を試算。橋梁の試算を見ると、20年時点では100人当たり4・6橋だったが、40年には11・4橋と2・5倍に増加することになるという。
 財務省は、公共事業予算の増加をけん制するため、これまでもこうした指摘を繰り返している。国民の安全・安心を守ることと、インフラのダウンサイジングを両立できるのかという疑問は残るが、建設業就業者が今後も減少することは、もはや疑いようがない。
 建通新聞電子版で4月8日〜21日に行ったインフラの老朽化に関するアンケート調査でも、こうした業界内の不安が回答に表れている。老朽化対策の最も大きな課題として、建設業の人手、財源、自治体職員の人手の三択で聞いたところ、建設業の人手不足との回答が全体の60・0%を占めた=グラフ参照。
 国交省は、技術職員が不足するインフラの管理者が集まり、広域でインフラを管理する「地域インフラ群再生戦略マネジメント」の展開を急いでいる。財源についても、政府が6月にも閣議決定する国土強靱化実施中期計画で中長期の事業規模を確保する見通しだ。
 一方、老朽化したインフラは加速度的に増加し、その反面で若年層の採用は年々厳しさを増している。埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、社会全体に大きなインパクトを与えた。安心・安全なインフラを今後も維持するためにも、建設業の供給力に対する不安を国民全体が共有すべきだ。

提供:建通新聞社