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2025/04/23

橋梁点検への新技術 「コスト高」で見送り

 地方自治体の橋梁維持管理における新技術の活用について、点検と修繕で活用率に大きな差が出ている。国土交通省のまとめによると、橋梁点検への新技術の活用率は2023年度実績で36・5%。修繕での活用率は66・5%となっており、30ポイント以上の差がある。点検の効率化や精度の向上といった効果は認めつつも、「コスト高」を理由に新技術導入を見送る自治体が依然として多い。
 道路分野への新技術の活用について、国交省は20年4月に新技術導入促進方針をまとめている。この方針では、質の向上・プロセスの効率化・産業の活性化を達成するために、新技術の導入を促している。
 毎年度の修繕・点検の実施状況を明らかにする道路メンテナンス年報では、自治体が取り組む橋梁・トンネル・道路付属物の新技術の活用状況もまとめている。点検・修繕を行った道路施設を対象として、新技術の活用を検討した自治体数と、検討後に実際に新技術を活用した自治体数を明らかにしている。
 橋梁点検の調査結果を見ると、新技術を採用した自治体数は毎年度増加している。ただ、新技術を活用した自治体の割合を見ると、6割以上の自治体が、検討したものの活用を見送っている状況だ。
 一方、橋梁の修繕については、23年度に新技術を活用した自治体は66・5%に上っており、修繕よりも点検に新技術を活用する自治体の割合が低い。
 国交省が自治体に対して点検への新技術活用が少ない要因を聞いたところ、「費用面で従来手法のほうが有利」と答えた自治体は全体の46%、「効率面で従来手法のほうが有利」と回答した自治体は30%あり、8割近くが従来手法との比較で採用を見送っていた。特にコスト高を理由に活用を見送った自治体が半数近くに上った。
 国交省が3月に開いた道路技術懇談会でも、参加した有識者から新技術全般について「イニシャルコストが高く、導入を諦める自治体がある」との指摘があった。また、「自治体に対する支援策やコスト情報の提供、群マネ制度を活用した導入への誘導などが必要」との意見もあった。
 新技術の導入コストについて国交省は、21年度に改正した道路メンテナンス事業補助制度に基づき支援している。改正では、費用の縮減や事業の効率化に効果のある新技術を活用したものなどを、優先的に支援している。この他、点検に活用可能な技術を「点検支援技術性能カタログ」としてまとめ、新技術の積極的な活用を促している。

提供:建通新聞社