国土交通省の土砂災害防止対策推進検討会は、さらなる災害防止対策の強化に向けた提言をまとめた。土砂災害警戒情報の確度を向上させるために、複数のデータを活用して誤差を少なくする「アンサンブル予測」の導入などを検討している。
国交省は、都道府県が土砂災害警戒情報を発表する際の雨量基準について定期的に見直しを促しており、気象庁も降雨予測の精度向上に取り組んでいる。ただ、その確度には改善の余地があるため、土砂災害の発生時刻や位置に関するより正確な情報を都道府県と市町村が連携して収集する必要があるとした。
さらに、実際の降雨が土砂災害警戒情報を発表する際の基準値を上回る確率や、基準値に対する超過量の予測について、アンサンブル予測などの降雨予測技術を導入することを検討すべきとした。
また、土砂災害が発生する可能性については、各斜面の崩壊履歴や樹木の伐採などによる環境変化など、複数の要素が絡み正確な予測が困難なため、個別の斜面に応じた土砂災害予測手法の検討が必要とした。予測結果を反映しつつ、避難指示の発表体制に適したものとなるよう求めた。
この他、土砂災害警戒区域については、適切に区域の指定基準を見直せるように都道府県と連携した検証を継続すべきとした。警戒避難体制については、警戒区域内のリスク評価手法の研究を進めるとともに、被害リスクを段階的に表すといった工夫が重要とした。
提供:建通新聞社