日本建設業連合会(日建連)と国土交通省が全国9地区で開いた「2025年度公共工事の諸課題に関する意見交換会」が、6月16日までに全日程を終了した。16日の中部地区での会合を終えた押味至一土木本部長は、物価高騰で実質的な事業量が減少し、予算の制約に伴って数量減や工事の打ち切りが発生していることについて、「地方整備局とも問題意識を共有した」と述べ、「日建連としても、全体の予算確保を働き掛けなくてはならない」との見解を示した。
押味土木本部長は、おおむね20兆円強とされた国土強靱化実施中期計画の事業規模の積み上げに意欲を見せる一方、毎年度の政府の当初予算に盛り込まれる公共事業費について「根拠のない6・1兆円が続いている。物価上昇に見合った予算規模とすべきだ」と訴えた。 清水琢三土木副本部長は、物流業界に対する時間外労働の上限規制により、資材価格の高騰や搬入・搬出時間の制限に影響が出ている実態に触れ、「特に生コンの問題が深刻だ」と強調。この問題が全体の工程・コストに影響を及ぼしているとして、「現場条件の不一致と同じように扱ってもらいたい」と求めた。
竹中康一土木副本部長は「将来の担い手が減少し、受発注者双方で危機感が年々強くなっている」と意見交換会を振り返った。担い手不足を補うため、「新技術の活用による生産性の向上が重要だ」とも話し、国交省が直轄工事で試行する技術提案評価型ST型への期待感を示した。
国谷一彦土木副本部長は、「ゼネコンの利益率は他産業に比べて圧倒的に低い」と述べ、賃金水準の上昇のためにも適正な利潤を確保できる環境を整備する必要性を訴えた。
提供:建通新聞社