国土交通省は、BIM/CIMを活用した積算を2025年度から新たに砂防堰堤で試行する。これまで橋梁下部工を対象に実施したを成果生かし、対象工種を拡大する。3次元モデルに数量などの属性情報を持たせ、自動算出された数量を積算に生かす。BIM/CIMを活用できる場面を増やし、事業の各段階で生産性を高める。27年度以降、コンクリート構造物での本格導入を目指す。
現在は、3次元モデルと積算根拠が連携しておらず、設計ソフトで算出した数値を規定の様式に転記するなど、BIM/CIMを予定価格の算出に生かせていない。
そこで、3次元モデルの属性情報で数量・規格を表せるようにし、算出を円滑化することを積算の省力化、違算などの作業ミス低減につなげる。積算だけでなく、施工や維持管理などで活用することも想定し、必要なデータを後工程に引き渡すための手順を整備することにした。
属性情報を活用した積算の試行は、コンクリート構造物で先行している。土工などと比べて形状が明確で、寸法を出しやすいためだ。24年度には橋梁下部工を対象として11件の工事で試行。属性情報に記載した数量、施工条件を格納したデータファイルを作成し、数量を算出できることを確認した。
こうした試行結果を踏まえ、3月にはBIM/CIM取扱要領の中で、積算に必要な属性情報をまとめた。構造物の種類を示す「オブジェクト分類」や工事・工種と対応させる「体系コード」といった形で属性情報を体系的に整理。属性情報を専用のシステム(設計数量管理機能)で読み込めるようにするための変換ツールも整備した。
ただし、通常は3次元モデルを作成しない仮設などのモデルを作成することは求めない。余分な手間を避けるため、従来の2次元図面も信頼性、効率性を踏まえて使用の要否を判断する。
25年度は試行対象を、橋梁下部工と同じく代表的なコンクリート構造物である砂防堰堤に拡大する。26年度も試行を継続し、27年度の本格導入につなげる。
一方、土工については形状が複雑だったり、施工幅員に応じて積算条件が変わるため、従来の平均断面法と比べて3次元モデルの活用が必ずしも有効とは限らない。25年度末までに課題を把握し、3次元モデル数量の試行活用を開始したい考えだ。
提供:建通新聞社